「ラジオCMの収録に立ち会うことになった。当日は何をすればいいの?」
「スタジオでは、どんな順番で作業が進むの?」
結論から申し上げると、ラジオCMの収録は「ナレーションの収録」と「音の仕上げ(編集・ミックス)」の2つに分かれます。立ち会う人の大切な役割は、その場で読み方や仕上がりを確認し、OKかどうかを判断することです。台本の確定、読み方の確認、判断できる人の参加を事前に済ませておくと、収録はスムーズに進みます。
この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、ラジオCMの収録当日の流れ、立ち会う人が準備すること、聞くときのチェックポイント、よくあるつまずきと防ぎ方をまとめます。
収録の前に決まっていること
収録の日までに、次のことを決めておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 台本(決定稿) | 社内の確認が終わった最終の台本。秒数に合っているかも確認ずみ |
| ナレーター・声優 | 声のサンプルを聞いて決めた出演者 |
| BGM・効果音 | 使う音楽の候補。オリジナル曲なら仮の音源 |
| 読み方の確認 | 会社名、商品名、地名、人名、数字の正しい読み方とアクセント |
| 立ち会う人 | その場で判断できる人。社内の確認が必要なら、その方法 |
台本は、収録の当日に大きく変えないのが原則です。言い回しの小さな調整はその場でもできますが、内容が変わると、秒数や放送局の考査(内容の審査)にも影響します。
収録当日の流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 打ち合わせ | ディレクター、ナレーター、立ち会う人で、CMのねらいと読み方のイメージを共有する |
| 2. テスト(下読み) | ナレーターが台本を読み、声のトーンや速さを確認する |
| 3. 本番の収録 | 何回か録る。読み方を少しずつ変えたバージョンを録ることもある |
| 4. OKテイクを選ぶ | 録った中から、使う読みを選ぶ。部分ごとに良いものを組み合わせることもある |
| 5. 編集・ミックス | 声とBGM、効果音を重ね、秒数ぴったりに整える |
| 6. 試聴・確認 | 仕上がりを聞き、必要なら音量のバランスや間を調整する |
「テイク」とは、1回分の録音のことです。「OKテイク」は、使うと決めた録音を指します。20秒や40秒のCMの収録は、内容にもよりますが、ナレーター1人なら比較的短い時間で終わることが多い作業です。会話形式やドラマ仕立てのCMは、出演者の数だけ時間がかかります。
聞くときのチェックポイント
1. 名前がはっきり聞こえるか。会社名や商品名が、BGMや効果音にうもれていないかを確認します。最初と最後の名前は、特に大切です。
2. 読み方とアクセントは正しいか。固有名詞のアクセントは、社内の呼び方と違うことがあります。ここは発注側にしか判断できない部分です。
3. 速さは聞き取りやすいか。「少し早いかな」と感じたら、台本を短くすることも考えます。ラジオは、運転中や家事の最中に聞かれることも多いメディアです。
4. 声の雰囲気は合っているか。明るさ、やさしさ、落ち着きなど、会社や商品のイメージに合っているかを聞きます。
5. 電話番号や日付は正しいか。数字の読み間違いは、反響を失うことにつながります。台本と照らし合わせて確認します。
6. いろいろな環境で聞いてみる。スタジオのスピーカーはとても音がよいため、ふだんラジオを聞く環境とは違って聞こえることがあります。仕上がった音源を、スマートフォンや車の中でも聞いてみると、聞こえ方の違いに気づけます。
スタジオにいる人と役割
| 人 | 役割 |
|---|---|
| ディレクター | 収録の進行役。ナレーターに読み方の指示を出し、OKかどうかを提案する |
| ミキサー(録音技師) | 録音の機材を操作し、声や音楽の音量・音質を整える |
| ナレーター・声優 | 台本を読み、声を収録する |
| 立ち会う人(発注側) | 内容と読み方を確認し、OKを出す |
| 代理店の担当者 | 発注側の意図をスタッフに伝え、判断を助ける |
収録はナレーターがブース(防音の小部屋)に入り、ほかの人はガラス越しの部屋で、スピーカーから流れる声を聞きながら進めます。ブースの中のナレーターと話すときは、マイクを通して話します。
修正を伝えるコツ
・場所を具体的に:「2行目の『今だけ』を、もう少し強めに」のように、どこをどう変えたいかを伝えます。
・理由を伝える:「この言葉がいちばん伝えたいことなので」と理由がわかると、ディレクターが読み方を工夫しやすくなります。
・ディレクターを通して伝える:ナレーターへの指示は、基本的にディレクターを通して伝えます。指示が一本化され、ナレーターが迷いません。
・迷ったら複数録っておく:判断がつかないときは、パターン違いを録っておき、あとで社内で比べる方法もあります。
よくあるつまずきと防ぎ方
| つまずき | 防ぎ方 |
|---|---|
| 当日に上司の意見で台本が変わる | 収録の前に、決める立場の人に台本を確認してもらう。可能なら立ち会ってもらう |
| 秒数に入りきらない | 台本の段階で、声に出して時間を測っておく |
| 読み方を間違えたまま録ってしまう | 固有名詞の読みとアクセントの一覧を事前に渡す |
| BGMが決まらない | 収録前に候補を2〜3曲にしぼっておく |
| あとで音量のバランスが気になる | 試聴のときに、いろいろな環境で聞いて確認する |
立ち会う人の準備リスト
・最終の台本:社内の確認が終わったもの。修正の書き込みができるよう、印刷しておくと便利です。
・読み方の一覧:会社名、商品名、地名、人名、専門用語の読み方とアクセント。迷う言葉は、社内でふだんどう呼んでいるかも伝えます。
・商品やサービスの資料:ナレーターが内容をイメージしやすくなり、読みの表情が変わります。
・参考の音声:過去のCMや、イメージに近いCMがあれば、聞いてもらうと方向性を合わせやすくなります。
・社内への連絡手段:その場で判断できないことがあったときに、確認できる相手と方法を決めておきます。
収録のあとの流れ
仕上がった音源は、放送局に納める形式に整えます。民放連と日本広告業協会の「ラジオCM素材搬入基準」(2024年11月1日から新基準)では、平均ラウドネスを-24.0LKFS±1dBとすることや、前後に0.1〜0.5秒の無音を入れることなどが定められています。また、CMの原稿に、広告主名、CM素材名、CM秒数、素材を見分けるための情報を書くことになっています。
放送の前には考査もあるため、収録の日から放送開始日まで、余裕をもったスケジュールを組みます。くわしくはラジオCM素材搬入基準とラジオCMの考査とはをご覧ください。
よくある疑問
Q. 収録に立ち会わなくても大丈夫ですか?
立ち会わずに、仕上がった音源を確認していただく方法もあります。ただし、読み方の細かい調整はその場のほうがしやすいため、初めてのCMや、固有名詞が多いCMでは立ち会いをおすすめします。
Q. 収録したあとに、言葉を1つだけ変えたくなったら?
変える部分だけを録り直して差し替えられる場合もあります。ナレーターの予定やスタジオの手配が必要になるため、変更の内容をご相談ください。
まとめ:立ち会いの役割は「その場で判断すること」
・収録は、打ち合わせ、テスト、本番、OKテイクの選定、編集・ミックス、試聴の順で進む
・台本の確定、読み方の一覧、判断できる人の参加を事前に済ませておく
・名前の聞こえ方、読み方とアクセント、速さ、声の雰囲気、数字を確認する
・修正は場所と理由を具体的に、ディレクターを通して伝える
声と音楽の選び方はラジオCMの音楽・ナレーターの選び方、費用の内訳はラジオCM制作の費用と流れをご覧ください。


