「やりたい施策が多すぎて、どれから手をつければいいかわからない」
「声の大きい人の案から進んでしまい、成果につながっていない」
結論から申し上げると、マーケティング施策の優先順位は、①目標(KPI)を1つに決める、②施策の候補をすべて書き出す、③「効果の大きさ」「うまくいく確からしさ」「かかる手間と費用」の3つで点をつける、④点の高い順に並べ、人と予算の上限で区切る、の順で決めます。点のつけ方を先に決めておくと、思いつきや声の大きさではなく、同じ基準で施策を比べられます。
この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、マーケティング施策の優先順位の決め方を、点のつけ方、例、見直しのしかたに分けてまとめます。
なぜ優先順位が必要なのか
マーケティングの施策は、広告、SNS、ホームページの改善、展示会、メールマガジン、営業資料の作成など、いくらでも思いつきます。しかし、使える人と予算には限りがあります。
アドビの調査(2025年5月実施、日本を含む7か国のマーケティング担当者2,835人)では、日本のマーケターが挙げたいちばん大きな課題は「人材不足」でした。人が足りないなかで、すべての施策に少しずつ手をつけると、どれも中途半端になり、成果が出ないまま終わりがちです。限られた人と予算を、目標にいちばん効く施策に集めるために、優先順位を決めます。
優先順位の決め方 4つのステップ
| ステップ | やること |
|---|---|
| 1. 目標を1つに決める | 今期いちばん上げたい数字(問い合わせ数、来店数、応募数など)を決める |
| 2. 施策の候補を書き出す | 関係者から案を集め、1つの表に並べる。思いつきの段階でかまわない |
| 3. 3つの基準で点をつける | 効果の大きさ、うまくいく確からしさ、手間と費用の軽さを点数にする |
| 4. 並べて区切る | 点の高い順に並べ、使える人と予算の範囲で「今期やるもの」を決める |
3つの基準の点のつけ方
| 基準 | 考えること | 点のつけ方(例) |
|---|---|---|
| 効果の大きさ | うまくいったとき、目標の数字がどれだけ増えるか | 目標への影響が大きいほど高く、1〜5点 |
| 確からしさ | 過去の実績、他社の事例、データなどの根拠があるか | 根拠がはっきりしているほど高く、1〜5点 |
| 手間と費用の軽さ | かかる人の時間、費用、準備の期間 | 軽いほど高く、1〜5点 |
3つの点を掛け合わせるか、足し合わせて合計点を出します。掛け合わせると、どれか1つが極端に低い施策の点が下がるため、「効果は大きいが根拠がない」施策を見分けやすくなります。点のつけ方は説明のための例で、会社ごとに決めてかまいません。
点をつけた例
法人向けのサービスで、「問い合わせ数を増やす」を目標にした場合の例です。点数は説明のための例です。
| 施策の候補 | 効果 | 確からしさ | 手間・費用の軽さ | 合計(掛け算) |
|---|---|---|---|---|
| 問い合わせページの入力項目を減らす | 3 | 4 | 5 | 60 |
| 社名・サービス名での検索広告を始める | 3 | 4 | 4 | 48 |
| 業界紙に広告を出す | 4 | 3 | 3 | 36 |
| 導入事例の記事を増やす | 3 | 3 | 3 | 27 |
| テレビCMを放送する | 5 | 2 | 1 | 10 |
この例では、問い合わせページの改善や検索広告のように、手間が少なく確実な施策が上に来ます。テレビCMは効果が大きくても、確からしさと手間の点が低いため、今期は後回しという判断になります。ただし、点の低い施策でも、確からしさを上げる工夫(小さく試す、データを集める)をすれば、次の期に順位が上がることがあります。
優先順位を決めるときの注意点
目標を1つに絞る。目標が「認知も、問い合わせも、採用も」と複数あると、施策ごとに効く目標が違い、点をつけられません。目標が複数ある場合は、目標ごとに表を分けます。
点は複数人でつける。1人で点をつけると、その人の好みが出ます。関係者がそれぞれ点をつけ、差が大きい施策について理由を話し合います。
「すぐできること」ばかりにしない。手間の軽さを重視しすぎると、小さな改善ばかりが並び、大きな成長につながる施策がいつまでも始まりません。効果が大きい施策のうち1つは、準備を始める枠として残しておきます。
やめる施策も決める。新しい施策を増やすだけでは、人が足りなくなります。点の低い既存の施策は、やめるか縮小する候補として話し合います。
決めた優先順位を計画に落とし込む
優先順位を決めたら、上位の施策について、担当者、期限、予算、見る数字を決め、計画表に入れます。
| 決めること | 内容 |
|---|---|
| 担当者 | 社内の担当者と、依頼する会社 |
| 期限 | 始める日と、結果を確かめる日 |
| 予算 | 媒体費、制作費などの上限 |
| 見る数字と基準 | 何の数字がどこまで行けば続けるか、どこを下回ればやめるか |
「続けるか、やめるか」の基準を始める前に決めておくと、結果が出たあとに迷いません。基準のないまま始めた施策は、成果が出なくても惰性で続きがちです。
優先順位は定期的に見直す
点のつけ方は、結果が出るたびに変わります。うまくいった施策は確からしさが上がり、うまくいかなかった施策は下がります。月1回の定例会や四半期ごとの見直しで、表を更新し、次にやる施策を入れ替えます。
見直しのときは、施策ごとの結果を同じ物差し(問い合わせ1件あたりの費用など)で比べます。比べ方は広告の効果測定のやり方で解説しています。
よくある質問
Q. 社長や上司の案は、どう扱えばよいですか?
ほかの案と同じ表に入れ、同じ基準で点をつけます。基準が共有されていれば、なぜその順位になったかを説明しやすくなり、納得も得やすくなります。
Q. 点のつけ方に自信がありません。
最初は大まかでかまいません。大切なのは、全員が同じ基準で比べることと、結果を見て点を直していくことです。数回くり返すと、自社に合った点のつけ方が固まってきます。
Q. 優先順位づけから手伝ってもらえますか?
弊社のマーケティングPMOでは、目的とKPIの整理、施策の洗い出しと優先順位づけ、計画づくり、進行管理、効果測定までをお手伝いしています。料金は月30万円から(税別)で、支援の範囲に応じてお見積もりします。
まとめ:同じ基準で点をつけ、上から順にやり切る
・目標を1つに決め、施策の候補をすべて1つの表に書き出す
・「効果の大きさ」「確からしさ」「手間と費用の軽さ」で点をつけ、高い順に並べる
・人と予算の範囲で今期やる施策を区切り、やめる施策も決める
・担当・期限・予算・続けるかやめるかの基準を決め、定例会で表を見直す
決めた施策をまとめて動かす方法はマーケティング施策の進行管理のやり方、計画から効果測定までを任せる方法はマーケティングPMOとはをご覧ください。


