「検索の順位は変わらないのに、サイトへのアクセスが減っている気がする」
「ゼロクリック検索って、何のこと?」
結論から申し上げると、ゼロクリック検索は「検索した人が、検索結果のページだけで用事を済ませ、どのサイトもクリックしない」ことを指す言葉です。検索結果にAIの要約が表示されると、この傾向が強まることが、米国の調査で示されています。これからは、クリックされることだけでなく、AIの要約の中で名前が挙がり、参考のリンクとして選ばれることも大切になります。
この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、米国Pew Research Centerの調査とGoogleの公式資料をもとに、AIの要約で検索の行動がどう変わるかと、企業サイトの対策をまとめます。
ゼロクリック検索とは
検索結果のページには、通常のリンクの一覧のほかに、天気や計算の答え、地図、よくある質問、そしてAIの要約などが表示されます。知りたいことがその場でわかれば、利用者はサイトをクリックしません。これがゼロクリック検索です。
Googleは、検索結果の上部にAIの要約を表示する「AI による概要」を、2024年8月に日本でも提供し始めました(Google Japan Blog)。AIの要約が増えるほど、ゼロクリック検索がどう変わるかに注目が集まっています。
米国の調査:AIの要約があるとクリックが減る
米国の調査機関Pew Research Centerは、米国の成人900人が同意のうえで提供した、2025年3月のWEBの閲覧データを分析しました(2025年7月公表)。対象は、Googleでの68,879件の検索です。
| 項目 | AIの要約があった検索 | AIの要約がなかった検索 |
|---|---|---|
| 通常の検索結果のリンクがクリックされた割合 | 8% | 15% |
| そのまま閲覧を終えた割合 | 26% | 16% |
※Pew Research Center(2025年7月22日)より。米国のデータです。
さらに、AIの要約の中にあるリンクがクリックされたのは、要約が表示された検索のうち1%だけでした。
どんな検索でAIの要約が出やすいか
同じ調査では、2025年3月の検索のうち、AIの要約が表示されたのは18%でした。表示されやすさは、検索の言葉によって大きく違いました。
| 検索の言葉 | AIの要約が表示された割合 |
|---|---|
| 1〜2語の検索 | 8% |
| 10語以上の検索 | 53% |
| 「誰」「何」「いつ」「なぜ」などで始まる質問 | 60% |
| 名詞と動詞を含む文の形の検索 | 36% |
※Pew Research Center(2025年7月22日)より。英語の検索の分析です。
長い質問や、文章の形の質問ほど、AIの要約が出やすい傾向があります。「〇〇とは」「〇〇の選び方」「〇〇はいくら」のような、知識や比較を求める検索は、影響を受けやすいと考えられます。
AIの要約で引用されやすいサイト
同じ調査では、AIの要約でも通常の検索結果でも、もっとも多く引用されていたのはWikipedia、YouTube、Redditでした。AIの要約の参考元のうち、この3つで15%を占めました。
また、政府機関のサイト(.gov)は、AIの要約の参考元の6%で、通常の検索結果の2%より多く引用されていました。AIの要約の88%は、3つ以上の参考元を挙げていました。
この結果から、AIの要約は、信頼できる情報源や、まとまった説明のあるページを参考にしやすいことがうかがえます。
Googleの見方
Googleは、Google検索セントラルの「AI 機能とウェブサイト」で、AI による概要が表示される検索結果のページからのクリックは、利用者がサイトに長く滞在する傾向があり、より質が高いと説明しています。また、AI機能は、これまで見つけにくかったコンテンツを見つける手助けにもなり、幅広い種類のサイトが表示されやすくなるとしています。
つまり、クリックの数が減る可能性がある一方で、AIの要約を読んだうえでクリックする人は、関心の高い人だと考えることもできます。
企業サイトへの影響
| ページの種類 | 影響の考え方 |
|---|---|
| 用語の説明、基本の知識の記事 | AIの要約で答えが済みやすく、クリックが減りやすい |
| 料金、比較、選び方の記事 | AIの要約に引用されるかどうかで、見られ方が大きく変わる |
| サービスのページ、事例、問い合わせ | 依頼先を決める段階で見られるため、引き続き大切 |
| 社名・商品名での検索 | すでに知っている人の検索。会社の情報が正しく表示されるかが大切 |
ゼロクリック時代の対策
1. AIの要約に引用される情報を用意する。料金、選び方、手順、よくある質問など、AIが答えをまとめるときに使える情報を、1つのテーマにつき1ページで、はっきり書きます。数字や条件は、出典や時期とあわせて正確に載せます。
2. 名前を覚えてもらう。AIの要約で名前が挙がると、クリックされなくても、名前を知ってもらうきっかけになります。社名やサービス名の表記をサイト全体でそろえ、AIに正しく読み取られるようにします。
3. クリックしたくなる理由をつくる。AIの要約では伝えきれない、事例、見積もりの試算、相談の受付など、サイトでしかできない体験を用意します。
4. 検索以外の入口を持つ。メールマガジン、SNS、広告など、検索に頼らない接点をあわせて持つと、変化の影響を受けにくくなります。
5. 測り方を変える。クリック数だけでなく、表示回数、社名での検索の増え方、AIの回答での紹介のされ方もあわせて見ます。
広告との組み合わせ
検索結果でのクリックが減ると、自然検索だけで集客するのは難しくなります。次のような広告を組み合わせて、入口を増やす考え方もあります。
| 方法 | 役割 |
|---|---|
| 検索広告 | 今まさに探している人に、検索結果で確実に表示する |
| SNS広告・動画広告 | まだ検索していない人に、名前を知ってもらう |
| ChatGPT広告 | AIに相談している人に、会話の内容に関係する広告として届ける |
| テレビCM・シネアドなどのマス広告 | 名前を広く知ってもらい、社名での検索やAIへの質問につなげる |
名前を知っている人は、AIの要約を読んだあとでも、社名で検索して訪れることがあります。広告で名前を知ってもらうことと、AIの答えの中で正しく紹介されることは、つながっています。
効果の確かめ方
Google検索セントラルによると、AI による概要やAI モードに表示されたサイトの数字も、Search Consoleの検索パフォーマンスのレポート(検索タイプが「ウェブ」)に含まれます。ページごとに、表示回数とクリック数、クリック率の変化を見ると、AIの要約の影響を受けていそうなページの見当がつきます。
あわせて、お客様が聞きそうな質問を実際にGoogleやChatGPTなどで試し、自社が参考のリンクや紹介に出てくるかを定期的に確かめます。
引用されやすいページにするためのチェックリスト
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| ページの冒頭で、質問にはっきり答えているか | AIが答えをまとめるときに使いやすくするため |
| 数字に出典と時期が書かれているか | 信頼できる情報として扱われやすくするため |
| 表や箇条書きで整理されているか | 内容を正確に読み取ってもらうため |
| 社名・サービス名の表記がそろっているか | 名前を正しく紹介してもらうため |
| 1つのテーマにつき1ページになっているか | どのページが何に答えるのかを明確にするため |
| GooglebotやAIの検索のクローラーを止めていないか | 読み取ってもらえなければ、引用もされないため |
よくある質問
Q. ゼロクリック検索が増えると、SEOは意味がなくなりますか?
A. 意味がなくなるわけではありません。Googleは、AI による概要やAI モードで参考のリンクとして表示されるための条件は、通常の検索と同じだと説明しています。SEOの基本を土台に、AIの要約で引用される情報を整えることが大切です。
Q. 日本でも同じ傾向がありますか?
A. この記事で紹介したPew Research Centerの調査は、米国のデータです。日本の利用者で同じ数字になるとは限りません。自社のSearch Consoleのデータで、ページごとの変化を確かめることをおすすめします。
Q. 用語の説明の記事は、もう書かないほうがいいですか?
A. AIの要約で答えが済みやすいテーマですが、正確な説明は、AIに引用される参考元になり得ます。用語の説明から、料金、選び方、事例、相談の受付へと、読み進める道筋をつくっておくと、クリックした人を次の行動につなげやすくなります。
まとめ:クリックだけでなく、AIの答えの中での存在感を
・ゼロクリック検索は、検索結果だけで用事が済み、サイトがクリックされないこと
・米国の調査では、AIの要約があると通常のリンクのクリックは8%(要約なしは15%)、要約内のリンクのクリックは1%
・長い質問や文章の形の検索ほど、AIの要約が出やすい
・Googleは、AI による概要のある検索からのクリックは質が高いと説明している
・引用される情報の用意、名前の浸透、サイトならではの価値、検索以外の入口、測り方の見直しで備える
GoogleのAI機能の仕組みは、AIO(AI検索最適化)とはもあわせてご覧ください。自社の紹介のされ方は自社がAIにどう紹介されているか調べる方法で確かめられます。


