「スポットCMとタイムCMって、何が違うの?」
「うちの会社は、どちらで出せばいいの?」
結論から申し上げると、タイムCMは「番組のスポンサーになって、決まった番組の中で長く流すCM」、スポットCMは「番組を決めずに、決めた期間にまとめて流すCM」です。タイムCMは企業名を覚えてもらい、信頼を積み上げるのに向いています。スポットCMは、新商品の発売やセールなどに合わせて、短い期間で一気に知ってもらうのに向いています。
この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、スポットCMとタイムCMの違い、料金の決まり方、効果の違い、目的別の選び方をまとめます。
テレビCMの買い方は大きく2種類
民放のテレビCMには、大きく分けて「タイムCM」と「スポットCM」の2つの買い方があります。視聴率調査を行うビデオリサーチも、解説記事「タイムCM、スポットCM、第三のテレビCMとは?」(VR Digest plus)で、この2つを基本の買い方として紹介しています。
| 項目 | タイムCM | スポットCM |
|---|---|---|
| 流れる場所 | 提供する番組の中 | 番組の中、または番組と番組の間(指定はできない) |
| 期間 | 原則2クール(6か月)単位の契約が多い | 2週間〜1か月ほどの期間で組むことが多い |
| 秒数 | 30秒以上が原則 | 15秒以上 |
| 料金の決まり方 | 番組の価値(視聴率、視聴者層、エリア、時間帯) | GRP(延べ視聴率)×1GRPあたりの単価 |
| 買うタイミング | 春と秋の番組改編が中心 | キャンペーンのたびに、いつでも |
| 向いている目的 | 企業名の定着、信頼づくり、特定の視聴者層への継続的な接触 | 新商品やセールの告知、短期間での認知づくり |
※ビデオリサーチ「タイムCM、スポットCM、第三のテレビCMとは?」(VR Digest plus)をもとに作成(2026年10月に確認)。
タイムCMとは
タイムCMは、特定の番組のスポンサーとして流すCMです。「番組CM」「提供CM」とも呼ばれます。番組の中で「この番組は、ご覧のスポンサーの提供でお送りします」と紹介されるのが、タイムCMのスポンサーです。
提供のしかたは3つ。1つの番組を複数の会社で提供する形、1社だけで提供する形、3〜10分ほどの短い番組(ミニ番組)を1社で提供する形があります。複数社での提供は1社あたりの費用を抑えられる一方、流せるCMの秒数は限られます。
提供の秒数で、紹介のされ方が変わる。ビデオリサーチの解説では、提供秒数が30秒の場合は社名などが画面に出て「ご覧のスポンサー」とまとめて紹介され、60秒になると社名が個別に読み上げられる、と説明されています。
流れるエリアは2つ。全国の系列局でも流れる「ネットタイム」と、特定の局のエリアだけで流れる「ローカルタイム」があります。
契約は半年単位が多い。レギュラー番組は3か月(1クール)ごとに組まれ、大きな改編は春(4月)と秋(10月)の年2回です。タイムCMはこの改編に合わせて、2クール(6か月)単位で契約することが多いため、まとまった予算が必要です。
スポットCMとは
スポットCMは、番組を決めずに、決めた期間の中で複数回流すCMです。最低の秒数は15秒で、2週間〜1か月ほどの期間で組むことが多いとされています。放送エリアや時期は、広告主が自由に決められます。
番組の中か、番組の間か。スポットCMには、番組の中で流れる「PT(パーティシペーション)」と、番組と番組の間で流れる「SB(ステーションブレイク)」があります。どちらで流れるかは指定できません。
流す時間帯の型がある。平日の夜と休日を中心にする「逆L型」、そこに朝を足した「コの字型」、さらに昼を足した「ヨの字型」、曜日や時間帯を決めない「全日型」などがあります。届けたい人がテレビを見ている時間帯に合わせて選びます。
料金の決まり方の違い
タイムCMは「番組の価値」で決まる。番組の視聴率、見ている人の特徴、放送エリアの広さ、放送される時間帯のランク(タイムランク)で決まります。タイムランクは多くの局で4つに分かれ、ビデオリサーチの解説では、最も高い「Aタイム」の例として平日の19〜21時台などが挙げられています。区分の決め方は局によって異なります。
スポットCMは「GRP」で決まる。GRPは、流したCMの視聴率を足し合わせた数字です。たとえば視聴率5%、10%、15%の枠に1本ずつ流すと、合計30GRPです。1GRPあたりの単価(パーコスト)が10万円なら、30GRP×10万円=300万円という計算になります(ビデオリサーチの解説にある計算例。実際の単価は局・時期・時間帯で変わります)。
GRPやリーチの考え方は、少し慣れが必要です。くわしくは、テレビCMのサービスページでもご説明しています。
効果の違い
ビデオリサーチは、タイムCMとスポットCMの効果の差を調べた結果を公開しています(VR Digest plus「タイムCMとスポットCMの効果差を可視化する」)。2023年7月に1,000人を対象に行った調査で、5つの企業・ブランドを比べたものです。
・タイムCMに接触した人の指標(認知、好意、購入意向など10項目)の平均は、スポットCMだけに接触した人を100とすると135でした。
・とくに「次回購入意向」では161と、差が大きく出ました。
・企業広告や保険など、すぐに購入に結びつきにくい分野で、差が大きい傾向がありました。
ただし、これは10項目の平均であり、「認知が1.35倍になる」という意味ではありません。また、番組を続けて見ている人と比べた結果のため、タイムCMだけが理由だとは言い切れません。スポットCMには、短期間で幅広い人に届けられるという別の強みがあります。
第三の買い方「SAS」
近年は、タイムCMでもスポットCMでもない買い方として、SAS(スマート・アド・セールス)も登場しています。CMを1本(15秒)単位で、番組や時間帯を選んで買える仕組みです。ビデオリサーチは「第三のテレビCM」として紹介しています。在庫(買える枠)が限られるため、使えるかどうかは局や時期によって変わります。
目的別の選び方
| 目的 | 向いている買い方 | 理由 |
|---|---|---|
| 新商品の発売、セール、イベントの告知 | スポットCM | 日付に合わせて、短期間にまとめて流せる |
| 会社名を覚えてもらう、信頼を高める | タイムCM | 同じ番組で繰り返し接触し、提供の紹介も入る |
| 決まった視聴者層に届けたい(例:経済に関心がある人) | タイムCM | 番組の視聴者層で届ける相手を選べる |
| まず小さく試したい | スポットCM(ローカル局)、SAS | 期間と本数を小さく組める |
| 年間を通じて露出し、繁忙期に強めたい | タイムCM+スポットCM | 土台をタイムで作り、山場をスポットで上乗せする |
選ぶ前に知っておきたい注意点
・CMの量には上限がある:日本民間放送連盟の放送基準では、テレビの1週間のCMの総量は総放送時間の18%以内と定められています。人気の時間帯は枠が埋まりやすく、希望どおりに買えない場合があります。
・スポットは時期で単価が変わる:広告の需要が集まる時期は単価が上がりやすく、同じ予算でも流せる本数が変わります。
・タイムは途中でやめにくい:半年単位の契約が多いため、始める前に継続できる予算を確保しておく必要があります。番組の改編で、番組そのものが終わる場合もあります。
・どちらも考査がある:放送局ごとに、広告主とCMの内容の審査(考査)があります。初めての局では時間がかかることがあります。
タイムとスポットを組み合わせる考え方
タイムCMとスポットCMは、どちらか一方を選ぶものではありません。役割を分けて組み合わせる会社も多くあります。
土台はタイム、山場はスポット。1年を通して番組提供で企業名を出し続け、新商品の発売や繁忙期にはスポットCMで量を上乗せする、という形です。タイムで「なじみのある会社」になっておくと、スポットで流す告知も受け取ってもらいやすくなります。
まずスポットで試し、続けるならタイムへ。初めての出稿では、期間と本数を小さく組めるスポットCMで反応を確かめ、手ごたえがあれば番組提供を検討する、という進め方もあります。
単発の特番に提供する。年末年始の特番やスポーツ中継など、1回だけ放送される番組にもスポンサーを募ることがあります。ビデオリサーチの解説では「単発タイム」と呼ばれ、放送日に合わせてスポットCMと一緒に出す企業もあると紹介されています。
よくある質問
Q. タイムCMは、どの番組でも提供できますか?
A. 番組ごとにスポンサーの枠の数は限られています。人気の番組は空きがないこともあります。春と秋の改編の前に、空いている番組を確認するのが一般的です。
Q. スポットCMで、流れる番組を選べますか?
A. 原則として番組は指定できません。曜日や時間帯の希望を伝え、局が空き状況に合わせて流す日時を決めます。番組を選んで1本ずつ買いたい場合は、SASに対応した枠があるかを確認します。
Q. 15秒のCMしかありませんが、タイムCMに使えますか?
A. タイムCMは30秒以上の提供が原則です。15秒のCMを2本流す形で30秒の提供にする方法もあります。どの形になるかは局や番組によって異なります。
まとめ:短期で広げるならスポット、長く積み上げるならタイム
・タイムCMは番組のスポンサーとして流すCM。半年単位の契約が多く、企業名の定着や信頼づくりに向く
・スポットCMは番組を決めずに期間で流すCM。告知や短期間の認知づくりに向く
・料金はタイムが「番組の価値」、スポットが「GRP×パーコスト」で決まる
・ビデオリサーチの調査では、タイムCM接触者のブランド指標はスポットのみの人を平均で上回った
・SASなど1本単位の買い方もあり、目的と予算から組み合わせを決める
手続きの全体像はテレビCMが初めての担当者へ|出稿の全8ステップ、審査についてはテレビCMの考査とは、秒数の選び方はテレビCMの秒数は15秒か30秒かをご覧ください。


