テレビCMの秒数は15秒か30秒か|同予算での到達比較と原稿に入る文字数から判断する【2026年版】

「テレビCMは15秒でいいのか、それとも30秒にすべきなのか」

「30秒にすると放映費が倍になると聞いたけれど、それに見合う効果はあるのか」

結論から申し上げると、テレビCMの秒数は「どちらが効果的か」という比較では決まりません。決まるのは、**同じ予算で何本流せるか(到達)と、その尺の内側に何が入るか(情報量)のトレードオフ**です。この2つを数字にして並べると、答えは自社の目的の側からほぼ自動的に出てきます。

この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、同じ予算での15秒と30秒の到達比較、原稿に入る音節数と文字数、目的別の判断フロー、制作費と長尺枠の実務まで、プロの視点で徹底解説します。

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テレビCMの秒数は何秒から選べるのか|実務の主戦場は15秒と30秒

テレビCMの秒数は、実務上は15秒と30秒の2択から考えます。地上波で一般的に売られている単位が15秒であり、料金の基準となる1本単価も15秒に置かれているためです。

実務上の位置づけ主な使い方
15秒地上波スポットCMの基本単位。1本単価の基準も15秒認知の獲得、リマインド、キャンペーン告知
30秒15秒枠を2枠分使う形で放送されるのが基本。タイム(番組提供)でも多く使われる商品説明、ストーリー、企業ブランディング
60秒以上の長尺枠の在庫が限られ、対応の可否は局と枠によって分かれる高関与商材の説明、周年・採用ブランディング
数分以上の通販・インフォマーシャル通常のCMとは別の進行・別の枠として扱われることがある通販、実演を伴う商品説明

なお6秒のような短い尺は動画配信の広告フォーマットで、地上波のスポットCM商品として一般的に販売されているものではありません。

そして、この問いは3つの下位の問いに分解できます。

  • ① 同じ予算にしたとき、本数と延べ到達はどれだけ変わるのか(到達の問い)
  • ② その尺の内側に、伝えたい情報は物理的に入るのか(情報量の問い)
  • ③ 尺を変えると制作費と素材の運用はどう変わるのか(コストと運用の問い)

検討がつまずくのは、①だけ、あるいは②だけで判断してしまうからです。以下では①②③を順に数値化していきます。

地上波の秒数選びは実質的に15秒と30秒の2択です。判断は「到達」「情報量」「制作費と素材運用」の3つの問いに分解すると、感覚論から抜け出せます。

【この記事の核①】同じ月額予算で「15秒×本数」と「30秒×本数」を並べて比べる

秒数の議論でいちばん効くのは、効果の議論ではなく、予算を固定したときの本数の議論です。尺を倍にすると、本数はおおむね半分になります。

30秒素材は「15秒枠を2枠分使って放送する」のが基本の考え方です。

枠を複数購入して長尺を放送する運用は、放送局のFAQでも案内されています。テレビ愛知のSmart Ad Sales(SAS)のよくある質問では、「30秒枠を購入できますか?」という問いに「15秒枠を複数購入して、30秒素材や60秒素材などの長尺CMを放送することは可能です。ただし対応できない場合もあります」と案内されています。ただしこれは中京エリア1局の自社セルフ商品についてのFAQであり、地上波一般の値付けの原則を示したものではありません。

**コスト倍率としては、業界一般の目安として15秒の2倍程度**と置いて設計します。局や枠によってはこれと異なる料率が設定されることもあり、料金は時期・局・枠の空き状況により変動します。見積の前提は必ず確認してください。

計算の出発点になる15秒1本の単価目安は、エリアで大きく変わります(いずれも目安で変動します)。

エリア主な局15秒1本(税抜)
関東広域キー局5局30〜100万円
関西広域準キー局5局4〜25万円
中京広域名古屋の各局4〜12.5万円
北海道道内各局4〜6.5万円
福岡県内各局2.5〜6万円
BSBS各局5〜10万円
CS専門チャンネル1.8〜3.5万円

ここからは計算をわかりやすくするため「15秒1本=10万円」と仮定して比較します。

この10万円は、関西・中京クラスの水準を想定した計算用の仮定値です。関東広域は上表のとおり1本あたりの水準が大きく異なりますので、関東でご検討の場合は自社の見積単価に置き換えてお読みください。

月額予算300万円のケースです。1本あたりの平均世帯視聴率を2%(=1本2GRP)と仮定した計算例で、実際の視聴率は枠によって大きく変わります。

前提:月額300万円/15秒1本10万円と仮定15秒のみ30秒のみミックス(30秒5本+15秒20本)
1本あたりの枠コスト10万円20万円(15秒枠2枠分)30秒20万円/15秒10万円
流せる本数30本15本25本
延べGRP(1本2GRPと仮定)60GRP30GRP50GRP
同じ人に当たる回数(フリークエンシー)積みやすい積みにくい中間
1本で伝えられる訴求1点2〜3点枠ごとに出し分け
向いている狙い名前と存在を広く覚えてもらう理解させる・納得させる認知は15秒、理解は30秒で分業

※ 本表のGRPは素材単位(放送した各CMの実測視聴率をそのまま足し上げる数え方)で計算しています。実務のプラン提示では30秒素材を2倍で計上する「15秒換算GRP」が使われることがあり、その数え方では同じ予算のGRPは15秒と30秒でほぼ同値になります。代理店の見積GRPと突き合わせるときは、どちらの数え方かを必ず確認してください。

予算水準を変えても構造は同じで、予算が小さいほど本数の減り方が痛くなります。

月額予算(15秒1本10万円と仮定)15秒のみの本数30秒のみの本数
100万円10本5本5本減
300万円30本15本15本減
600万円60本30本30本減
1,000万円100本50本50本減

月額予算が下限に近いときに30秒を選ぶのは、もっともリスクの高い選択です。10本が5本になれば、同じ人に2回以上当たる確率は大きく下がります。

30秒素材は15秒枠2枠分を使うのが基本のため、同じ予算では本数がおおむね半分になります。予算が小さいほどこの減り方が致命的になるため、まず本数の表を作ってから効果を議論してください。

「本数が2倍だからリーチも2倍」にはなりません|延べ到達とユニークリーチは別物

前章で出した60GRPや30GRPは、**延べの到達量**です。何人に届いたかを表す数字ではありません。

用語意味秒数を決めるときの使い方
GRP(延べ視聴率)放送した各CMの視聴率を足し上げた合計。延べの到達量予算と本数から機械的に計算できる。比較の入口
リーチ(ユニークリーチ)期間中に1回以上CMに接触した実人数(実世帯)の割合本当に知りたい数字。GRPからは一律に換算できない
フリークエンシー接触した人が平均で何回接触したかGRP ÷ リーチ でおおむね表される関係
延べ到達GRPに近い概念。同じ人に3回当たれば3としてカウントされる本数を増やしたときに増えるのは主にここ

GRPは「リーチ×平均フリークエンシー」に分解されます。

同じ60GRPでも、少ない人に何度も当てた60GRPと、多くの人に薄く当てた60GRPがあります。どちらになるかは秒数ではなく、**枠の組み方**で決まります。

したがって「30秒にすると本数が半分だから、リーチも半分」ではありません。正確には、**GRPが一定水準に達している場合は、本数が半分になると延べ到達はほぼ半分になり、リーチの落ち方はそれより緩やかで、先に削られるのはフリークエンシー**です。認知を作りたい局面では、これがもっとも避けたい状態です。

ただし条件があります。上の例で挙げた10〜20GRP程度の低い水準では、リーチ曲線はまだほぼ直線的で、本数を半分にするとリーチもほぼ比例して落ちます。リーチが飽和に近づいてはじめて、増分がフリークエンシー側に回るようになります。つまり低予算帯では「リーチもフリークエンシーも一緒に落ちる」ため、結論はさらに厳しくなります。

何回当たれば覚えてもらえるかという有効フリークエンシーの水準は、商材の関与度や競合の出稿量、既存の認知率によって変わり、一律の正解はありません。放送後にビデオリサーチのデータで確認するのが確実です。

フリーザロックエージェントでは放送後に、世帯/個人全体(4才以上)の視聴率推移・推定リーチ・リーチ単価をレポートしています。2クール目以降は実測値で秒数と本数の配分を修正できます。

GRPは延べ、リーチは実人数で、別の指標です。GRPが一定水準に達している場合、本数が半分になると先に削られるのはフリークエンシーで、認知を狙う局面ではここが致命傷になります。低GRP帯ではリーチも比例して落ちます。

【この記事の核②】尺の内側に何が入るか|15秒CMで音声に使えるのは実質14秒

次は情報量の問いです。ここは感覚ではなく、搬入の仕様から逆算できます。

テレビCMの素材は、民放連(一般社団法人日本民間放送連盟)と日本広告業協会が定める「テレビCM素材搬入基準」に従って作られます。現行版は【2023年2月改訂版】で、2023年4月1日から適用されています。

素材の構成内容本編に含まれるか
調整用信号カラーバー信号と1kHzの基準音(5秒)含まれない
クレジット広告主名・CM素材名・10桁CMコード・素材秒数などの記録(CM開始5秒前〜3秒前)含まれない
ファーストカットCM開始3秒前から開始点まで含まれない
CM本編15秒/30秒などの正味の尺これが「秒数」
ラストカット本編の後に続く3秒。音声は無音含まれない

そして音声は、CM内容の開始点から0.5秒間と、終了点までの0.5秒間を必ず無音にする決まりがあります。

この無音部分は、業界では「ノンモン」と呼ばれます(5.1ch素材については、基準に「CMの前後0.5秒の音声が自動的にカットされます」と記載されています)。結果として、**15秒CMで音声に使えるのは実質14秒、30秒CMなら実質29秒**です。

この「実質14秒」は搬入基準からの逆算だけで出てくる数字ではありません。民放連「放送基準」第18章 広告の時間基準〈テレビ〉第(150)条も、15秒コマーシャルの標準を「14秒以内」、30秒コマーシャルの標準を「29秒以内」としています。搬入基準(0.5秒×2)と放送基準の両方から、同じ14秒・29秒が導かれます。

では、14秒にナレーションは何音節入るのでしょうか。

民放連「放送基準」第18章 広告の時間基準〈テレビ〉第(150)条が、15秒コマーシャルの標準を「14秒以内・**84音節**」として示しています。この84音節は解説書の記載ではなく、放送基準の本文に書かれた数値です。同条は30秒を「29秒以内・174音節」、60秒を「59秒以内・354音節」としています。

**旧基準(2023年3月まで)は78音節・13秒以内**でした。音節数が少なく、使える時間も短いという二重の意味で旧基準のほうが厳しいため、余裕を持たせて組みたい場合は**旧基準の78音節で組めば現行基準に確実に収まります**。

放送基準は2022年5月26日改正(2023年4月1日施行)で78音節→84音節、168音節→174音節に改められ、同時に条文の表現も「とおりとする」から「目安とする」へ、「スポットCM」から「コマーシャル」へ変更されました。旧基準の数値を載せた解説記事がいまも残っている点にはご注意ください。

民放連「放送基準」第18章 広告の時間基準〈テレビ〉第(150)条が「コマーシャルの標準は次を**目安**とする」として音節数を示しています。上限として断定的に定めたものではなく「目安」であり、「その他は各放送局の定めるところによる」とされているため、最終判断は放送する各放送局です。

音節の数え方は、民放連『放送基準解説書2014』が明確に定義しています。

  • 1音節とは、文節の各語を仮名で書いた場合の概ね各1文字に相当する
  • 長音(アー、カーなど)や促音(サッ、ポッなど)、撥音(ポン、カンなど)は、2音節とする
  • ただし拗音(キャ、チュ、ニャなど)は、2文字でも1音節と認める
  • 外来音(ティ、デュ、トゥなど)は、1音節と認める
  • 休止は、読点の場合を1音節、句点の場合を2音節とし、改行の場合を3音節とする

実務でいちばん効くのは、**「ン」(撥音)が2音節として数えられる**という点です。伸ばす音と小さい「ッ」も2音節です。社名・商品名やキャッチコピーにこれらが多いと、かな文字数の体感よりずっと早く上限に達します。逆に「キャ」「チュ」のような拗音は2文字でも1音節なので、原稿は文字数ではなくこの定義で数えてください。

項目15秒CM30秒CM
素材の正味の尺15秒30秒
音声に使える実質尺14秒29秒
ナレーションの音節(放送基準第(150)条)84音節(旧基準〈2023年3月まで〉は78音節。安全側に見るなら78音節)174音節(旧基準は168音節)
かな換算のおおよその文字数(換算値)約67文字約139文字
実務上、無理なく入る訴求ポイント(※当社の実務目安)1点2〜3点
社名・商品名の想起ポイント(※当社の実務目安)1〜2回2〜3回
映像でつかむのに使える冒頭(※当社の実務目安)2〜3秒3〜5秒

※ 実質尺(14秒/29秒)と音節数(84/174)は、民放連「放送基準」第(150)条に記載された数値です。文字数は、民放連『放送基準解説書2014』のラジオCMの表に示された音節と字数の比(125音節=100字、190音節=150字=およそ1.25対1)を用いて換算した参考値です。長音・促音・撥音が2音節と数えられるため、文字数は必ず音節数より少なくなります。「※当社の実務目安」と付記した行は放送局や民放連の公表値ではなく、フリーザロックエージェントが実務で使っている目安です。

この表の意味ははっきりしています。15秒に入るのは訴求1点です。

「社名を覚えてもらう」「新商品が出たことを知らせる」「締切を伝える」のうち、どれか1つです。仕組みの説明が必要なサービスや比較検討が前提の高額商材は、14秒では物理的に足りません。

迷ったら、先に15秒の原稿を書くのがもっとも早い検証です。78音節で成立するなら15秒で足り、成立しないなら30秒が必要だという結論が、会議ではなく原稿の上で出ます。

搬入基準により、尺の内側で冒頭0.5秒と末尾0.5秒が無音のため、15秒CMで音声に使えるのは実質14秒(30秒は29秒)です。放送基準第(150)条の音節数(15秒=84音節)から逆算すると、15秒に入る訴求は1点だけだと分かります。

効果はどれだけ違うのか|「認知には差がなく、興味関心・購入意向で差が出た」という検証

「30秒は15秒の2倍の効果がある」という説明を見かけますが、この種の数字には一次調査の裏付けが見つからないため使いません。出典が確認できる検証を1つ紹介します。

ビデオリサーチは2016年に、テレビ接触ログデータを用いて15秒CMと30秒CMの効果を検証した分析事例を公開しています。

対象期間は2016年5月30日から8月5日まで、対象はサントリー「ペプシストロング5.0GV」の1ブランド・1キャンペーンで、クリエイティブ2種を合算した分析です。同一ブランドの15秒版と30秒版の両方が出稿された期間の接触ログから「15秒に多く接触した層」「30秒に多く接触した層」を定義し、ブランド関与(認知・興味関心・購入意向)を比較しています。使われたデータソースは同社の「VR CUBIC」で、その後サービスを終了しています。

指標15秒CM接触層と30秒CM接触層の比較
ブランド認知両者に差がなかった
興味関心30秒CM接触層のほうが高かった
購入意向30秒CM接触層のほうが高かった

30秒素材は15秒素材を長尺化したもので情報量がほぼ等量だったため、内容が同じでも長尺化により記憶に留まりやすくなった可能性が仮説として挙げられています。

ただし、この結果を一般化するには次の点に注意が必要です。

  • 取り上げられているのは2016年の1ブランド・1キャンペーンの事例で、すべての商材に当てはまるものではない
  • 同社も「CM素材が異なるとまた違った結果になることは確認されている」と明記している
  • 30秒の出稿比率は全体の15%で、30秒接触層は集計対象3,533サンプルのうちわずか1.4%(実数で50前後)だった
  • 分析に使われたデータソース「VR CUBIC」は、その後サービスを終了している

**既に広く認知されたブランドの事例では、認知の指標に15秒と30秒の差は出ませんでした。**ただし同社は、これは「ペプシストロング」という名称が既によく認知されていたために明確な差として現れなかっただけで、新ブランドの場合は認知レベルでも影響がある可能性があると付記しています。したがって「認知が目的なら15秒」の根拠は、この検証ではなく本数とフリークエンシーの側(この記事の核①)に置いてください。一方で、認知はすでにあり検討を進めたい局面で30秒を混ぜる価値があるという読み方は、この検証から支持されます。

ビデオリサーチの2016年の検証事例では、ブランド認知に15秒と30秒の差はなく、興味関心と購入意向では30秒接触層が高い結果でした。ただし既に認知の高い1ブランドの事例で、同社は新ブランドなら認知でも差が出る可能性があると付記しています。

目的別の判断フロー|自社はどちらを選ぶべきか、5つの質問で決める

ここまでの数値を判断フローに落とします。上から順に見て、最初に当てはまったところで決めて構いません。

Q1. 目的は「認知」ですか、それとも「理解・納得」ですか。

  • 認知(名前・存在・キャンペーンを知ってもらう)→ 15秒。同予算で本数を最大化する
  • 理解・納得(仕組み、使い方、他社との違いを分かってもらう)→ 30秒を検討

Q2. 伝えたいことを1点に絞れますか。

  • 絞れる → 15秒。78〜84音節で原稿が成立するかを先に試す
  • 絞ると意味が通らない(前提の説明が必要)→ 30秒。14秒では物理的に入らない

Q3. 今回はテレビCMの初回出稿ですか。

  • 初回 → 15秒を推奨。本数を確保して反応を見る。素材が1本で済むぶん、考査や搬入の負荷も小さい
  • 2クール目以降で初回の実測データがある → 30秒やミックスを検討する土台がある

Q4. 月額予算は、選ぶメニューの下限に近い水準ですか。

  • 下限に近い → 15秒。30秒にすると本数が半分になり、フリークエンシーが立たない
  • 余裕がある → ミックス運用が選択肢に入る

Q5. 商材は検討期間が長い高額商材、あるいはBtoBですか。

  • はい → 30秒、または一部に長尺を混ぜる。テレビで関心を作り、Web動画や自社サイトで深掘りさせる
  • いいえ(低単価・日常品・地域集客)→ 15秒で回数を積む
状況推奨する尺理由
認知を作りたい/まだ名前が知られていない15秒同予算で本数を最大化でき、フリークエンシーを積める(この記事の核①)。なお15秒と30秒で認知に差がなかった検証事例は、既に認知の高いブランドの事例であり、新規ブランドの根拠にはなりません
説明が必要な商材(仕組み・使い方・比較)30秒実質14秒には訴求1点しか入らない
初回出稿で効果が読めない15秒+短期集中本数を確保して反応を見る。素材1本で始められる
月額予算が小さい(メニューの下限付近)15秒本数が半分になるとフリークエンシーが立たない
認知はあるが、購入意向を動かしたい30秒を一部混ぜる興味関心・購入意向で差が出た検証事例がある
高額商材・BtoB・検討期間が長い30秒または長尺+Web動画理解の深さが必要。テレビ単独で完結させない
既存商品のリマインド・季節告知15秒既知の情報を思い出させるだけなら1点で足りる

ミックス運用という選択肢も現実的です。

タイム(番組提供)は30秒で理解を作り、スポットは15秒で本数を積む。1つのキャンペーンで尺を統一しなければならない理由は、実務上ありません。

認知なら15秒、理解が必要なら30秒、初回と低予算なら15秒が原則です。尺を統一する必要はなく、タイムは30秒・スポットは15秒といったミックス運用も現実的な選択肢になります。

制作費は尺に比例しない|「尺替え」という選択肢と、別素材になることの実務コスト

秒数を決めるときに誤解されやすいのが制作費です。**尺が2倍になれば制作費も2倍、という関係ではありません。**

制作費の大きな部分を占めるのは、企画・キャスティング・撮影日数・スタジオ・ポストプロダクションで、尺よりも「何を何日かけて撮るか」で決まります。同じ撮影素材から編集で両尺を作る**尺替え**なら、追加は主に編集・MA(音の仕上げ)とナレーションの録り直しです。

つまり「30秒を作ると高い」のではなく、「別に撮り直すと高い」のです。

  • 最初から30秒版と15秒版の両方を前提に企画すれば、撮影は1回で済む
  • 既存のWeb動画やCM素材から、テレビ用の尺に作り替えられる場合がある
  • 音楽・出演者・ナレーターの権利は使用媒体と期間で契約されるため、尺替えでも確認が必要

一方で、放映側では「別素材」として扱われるコストが発生します。

民放連のテレビCM素材搬入基準では、同一のCM素材とは映像・音声・字幕が完全に一致するものを指し、**秒数が異なる場合は同一の素材とみなさない**と明記されています。秒数が違えば10桁CMコードも別になります。

尺替えで追加になるもの内容注意点
編集・MA費15秒版/30秒版それぞれの仕上げ撮影を共通化すれば撮影費は増えない
ナレーション収録音節数が変わるため原稿の書き直しが必要になることが多い放送基準の目安は15秒が84音節(安全側は旧基準の78音節)、30秒が174音節
10桁CMコード秒数が異なれば別素材となり、コードも別に必要広告事業者コードの取得は初回のみ
素材考査放送実績のない素材は、素材ごとに考査を受ける2尺作るなら2素材分の考査が発生する
搬入素材ごとに搬入が必要搬入締切は放送日を含まない4日前まで。土日祝を挟むと繰り上がる
権利費音楽・出演者・ナレーターの使用範囲尺・媒体・期間の契約条件を確認する

2つの尺を作るかどうかは、制作費だけでなく「考査と搬入が2素材分になる」という運用コストで判断してください。とくに初回出稿では、素材を1本に絞ったほうがスケジュールの読みが立ちます。

フリーザロックエージェントでは、企画段階で15秒で足りるか30秒が必要かを原稿ベースで検証し、尺替えを前提とした制作設計をご提案しています。

制作費は尺ではなく撮影の規模で決まるため、同じ撮影から15秒版と30秒版を作る尺替えが有効です。ただし秒数が違えば搬入基準上は別素材となり、考査も搬入も2素材分になります。

60秒以上の長尺CMはどこで流せるのか|枠の実務と現実的な使い方

30秒より長い尺のご相談も少なくありません。結論としては、**長尺は「作れるか」ではなく「枠があるか」で決まります。**

長尺は枠の在庫が限られ、対応の可否が局と枠によって分かれます。

放送局の公式案内でも、長尺は個別相談扱いが一般的です。前述のテレビ愛知のSASでも、15秒枠を複数購入して30秒・60秒などの長尺CMを放送できるとしつつ、対応できない場合もあるため事前の問い合わせを求めています。

  • 地上波のスポットで60秒以上を安定的に確保するのは、枠の性質上むずかしい
  • BSは1本単価が地上波より低く全国をカバーできるため、長尺を組みやすい傾向がある
  • CSはチャンネル単位でジャンルを絞れるため、関心層に長い尺を届ける設計と相性がよい
  • 通販・インフォマーシャルは、通常のCMとは別の枠・別の進行として扱われることがある

たとえばBSフジの営業向け公式案内では、CM素材準備の参照事例として「インフォマーシャル」「一社提供番組」「ミニ番組」が並び、通常の「CM進行スケジュール表」とは別に「通販進行スケジュール表」が用意されています。

そして長尺は、「テレビだけで完結させない」設計にしたほうが機能します。

60秒や90秒の素材はテレビで流せる本数が限られるぶん、自社サイトやラジオ・OOH・Web動画など他媒体、営業資料でも使い回せる資産になります。逆に本数が確保できないまま長尺だけを作ると、誰にも見られない状態になりがちです。

枠の確保しやすさ現実的な使い方
15秒もっとも確保しやすい(基本単位)スポットで本数を積む。認知とリマインドの主力
30秒15秒枠2枠分で組める。タイムでも使われる理解を作る。タイム提供と相性がよい
60秒局・枠により対応可否が分かれるBS・CSを含めて検討。Web動画と兼用する
90秒以上枠が限られ、個別相談になる企業ブランディングや周年。他媒体での二次利用を前提に設計する

※ 長尺枠の有無や価格は局ごとに異なり、時期・枠の空き状況により変動します。

長尺は制作の問題ではなく枠の在庫の問題です。地上波のスポットでは確保が難しく、BS・CSやSASの活用、他媒体での二次利用を前提にした設計が現実的です。

まとめ:テレビCMの秒数は『同じ予算で何が起きるかを見てから決める』

テレビCMの秒数を決めるために、押さえておきたい点を整理します。

・30秒素材は15秒枠2枠分を使うのが基本のため、同じ予算では本数がおおむね半分になる(倍率は局・枠・時期で変動)

・GRPが一定水準に達している場合、本数が半分になると先に削られるのはリーチではなくフリークエンシー。認知を狙う局面では致命的になる(10〜20GRP程度の低い水準ではリーチも比例して落ちる)

・GRP(延べ到達)とユニークリーチは別の指標で、GRPからリーチを一律に換算することはできない。本記事のGRPは素材単位の数え方で、15秒換算GRPとは数え方が異なる

・搬入基準により、尺の内側で冒頭0.5秒と末尾0.5秒が無音のため、15秒CMで音声に使えるのは実質14秒(30秒は29秒)。民放連「放送基準」第(150)条も15秒=14秒以内、30秒=29秒以内としている

・15秒のナレーションは84音節が民放連「放送基準」第(150)条に記載された目安。旧基準(2023年3月まで)の78音節・13秒以内のほうが厳しいので、安全に組むなら78音節

・放送基準は音節数を「目安とする」と示し「その他は各放送局の定めるところによる」としているため、最終判断は放送する各放送局

・ビデオリサーチの2016年の検証事例では、認知に15秒と30秒の差はなく、興味関心・購入意向では30秒接触層が高かった。ただし既に認知の高い1ブランドの事例で、新ブランドでは認知でも差が出る可能性があると同社が付記している

・制作費は尺に比例しない。尺替えが有効だが、秒数が違えば別素材で考査も搬入も別になる

秒数の議論は社内で好みの話になりがちですが、数字にすれば判断は早く決まります。同じ予算で何本流せるのか、その尺に原稿は入るのか。この2つを先に確かめてください。

フリーザロックエージェントでは、ご予算とエリアから「15秒なら何本、30秒なら何本」の比較表をお作りし、ナレーション原稿が音節の目安に収まるかどうかまで含めて秒数をご提案しています。枠選定から企画・制作、考査書類の準備、局ごとの搬入仕様の管理までワンストップで対応し、放送後は世帯/個人全体(4才以上)の視聴率推移・推定リーチ・リーチ単価をレポートします。

「うちの商材は15秒で足りるのか」「この予算なら何秒が現実的か」というご相談も歓迎です。枠の空き状況や単価は時期・局によって変動しますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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