「見積もりに『300GRP』と書いてあるけれど、どういう意味?」
「GRP、リーチ、フリークエンシー……テレビCMの用語がむずかしい」
結論から申し上げると、GRPは「流したCMの視聴率をすべて足した数字」で、テレビCMの量を表す単位です。ただし、GRPが同じでも「何人に届いたか(リーチ)」と「1人に何回届いたか(フリークエンシー)」は変わります。テレビCMの計画は、GRPだけでなく、この2つをセットで見ることが大切です。
この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、GRP・リーチ・フリークエンシー・パーコストの意味と計算のしかた、計画での使い方をまとめます。
GRPとは
GRPは「Gross Rating Point(グロス・レイティング・ポイント)」の略で、日本語では「延べ視聴率」と呼ばれます。ある期間に流したテレビCMの視聴率を、すべて足し合わせた数字です。
ビデオリサーチの解説(VR Digest plus)では、次のような例で説明されています。視聴率10%の番組Aに1本、視聴率5%の番組Bに1本、合わせて2本のCMを流した場合、10+5=15GRPです。
| CMを流した枠 | 視聴率 | 本数 | GRP |
|---|---|---|---|
| 月曜 朝9時台 | 5% | 1本 | 5 |
| 水曜 昼12時台 | 10% | 1本 | 10 |
| 日曜 夜22時台 | 15% | 1本 | 15 |
| 合計 | — | 3本 | 30GRP |
※ビデオリサーチ「タイムCM、スポットCM、第三のテレビCMとは?」(VR Digest plus)の計算例をもとに作成。視聴率は例示です。
1GRPは何人くらい?
視聴率は「テレビを持っている世帯や人のうち、何%が見ていたか」を表します。母数が大きいので、1%でもまとまった人数になります。
ビデオリサーチは、全国32地区の個人視聴率をもとにした場合、1GRPの出稿で100万人以上が視聴すると説明しています(同社サービス紹介ページ、2026年10月に確認)。関東だけ、県だけで流す場合は、そのエリアの人口が母数になるため、1GRPあたりの人数は小さくなります。
世帯と個人の違い。視聴率には「世帯視聴率」と「個人視聴率」があります。世帯は「その家のテレビでついていたか」、個人は「その人が見ていたか」で数えます。見積もりやレポートでどちらの視聴率が使われているかを確認しましょう。
リーチとフリークエンシー
リーチ(到達率)は、一定の期間に、CMに1回でも接触した人(世帯)の割合です。
フリークエンシー(接触回数)は、同じ人がCMに何回接触したかです。平均の回数(平均接触回数)として使うことも多くあります。
ビデオリサーチの解説では、CMを5回流し、AさんからDさんまでの4人のうちAさんとDさんが接触した場合、リーチは4人中2人の50%、とされています。Aさんが5回、Dさんが3回接触していれば、平均の接触回数は4回です。
GRPが同じでも、届き方は変わる
GRPは「リーチ×平均接触回数」とほぼ同じ意味を持ちます。そのため、同じ100GRPでも、次のように届き方がまったく違う場合があります。
| 届き方 | リーチ | 平均接触回数 | GRP |
|---|---|---|---|
| 広く浅く | 50% | 2回 | 100 |
| 狭く深く | 25% | 4回 | 100 |
※考え方を示すための例です。
実際に、ビデオリサーチがシミュレーションツールで試算した例では、個人全体・コの字型(朝と夜、土日を多めに流す型)で500GRPを流した場合、新潟地区は関東地区よりも推定リーチが5.2ポイント高く、推定平均接触回数は0.5回少ない結果でした(VR Digest plus、2025年10月)。同じGRPでも、地区によって「広く浅く」届くか「狭く深く」届くかが変わります。
地区のほかに、使う局の数、流す時間帯の型(逆L型、コの字型、全日型など)でもリーチと接触回数は変わります。ビデオリサーチは、局が多い地区ほどリーチが高くなりやすく、ゴールデンタイムに絞ると接触回数が多くなりやすいと説明しています。
「だれのGRPか」で数字が変わる
GRPは、どの人を母数にした視聴率で数えるかによって、同じCMでも数字が変わります。
個人全体のGRP。4歳以上のすべての人を母数にした視聴率で数えます。幅広い人に知ってもらいたい商品で使います。
ターゲットのGRP。「女性35〜49歳」「男性50歳以上」のように、届けたい人だけを母数にした視聴率で数えます。同じ枠でも、その層がよく見ている番組なら数字が大きく、あまり見ていない番組なら小さくなります。
たとえば主婦層に届けたい商品なら、個人全体のGRPが大きい枠よりも、その層の視聴率が高い枠を選んだほうが、むだが少なくなります。見積もりを比べるときは、「個人全体で何GRPか」に加えて、「届けたい層で何GRPか」も確認しましょう。
ビデオリサーチの解説では、平日の朝と夜、土日を中心に流す「コの字型」は、平日の昼間に働いている人を狙うときによく使われ、すべての時間帯に流す「全日型」は主婦・主夫層に届きやすい方向になると説明されています。届けたい人の生活時間に合わせて、流す時間帯の型を選びます。
パーコストとは
パーコストは、1GRPあたりの料金です。スポットCMは「GRP×パーコスト」で料金を考えます。ビデオリサーチの解説の例では、パーコストが10万円で30GRPを流す場合、30×10万円=300万円です。
パーコストは、局、エリア、時期、時間帯、秒数などで変わります。関東のように人口の多いエリアは、1GRPで届く人数が多いため、パーコストも高くなります。見積もりを比べるときは、パーコストだけでなく「その金額で何人に届くか」まで見ることが大切です。
用語のまとめ
| 用語 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 視聴率 | テレビを持つ世帯・人のうち、見ていた割合 | 番組や枠の大きさを比べる |
| GRP(延べ視聴率) | 流したCMの視聴率の合計 | CMの量を決める、発注する |
| リーチ(到達率) | 1回でもCMに接触した人の割合 | 何人に届いたかを見る |
| フリークエンシー | 同じ人がCMに接触した回数 | 覚えてもらえる回数かを見る |
| パーコスト | 1GRPあたりの料金 | 料金を計算する、見積もりを比べる |
| 出稿パターン | 逆L型、コの字型、ヨの字型、全日型など、流す時間帯の型 | 届けたい人の生活時間に合わせる |
計画での使い方
1. 届けたい人を決める。「個人全体」なのか、「女性35〜49歳」のように絞るのかで、見る視聴率が変わります。
2. 目標のリーチと回数を決める。たとえば「エリアの人の半分に、平均3回届ける」のように決めます。商品名を覚えてもらいたいなら回数を、まず知ってもらいたいならリーチを重視します。ビデオリサーチは、同じCMに何度も接触すると不快に感じさせる場合もあるため、両方のバランスが大切だと説明しています。
3. 必要なGRPを出す。目標のリーチを取るのに必要なGRPは、地区や流し方で変わります。過去のデータやシミュレーションをもとに見積もります。
4. 予算と照らし合わせる。必要なGRP×パーコストで、おおよその放映料が出ます。足りない場合は、エリアを絞る、期間を短くする、回数の目標を下げるなどで調整します。
5. 放映後に結果を確かめる。実際に取れたGRP、推定リーチ、1人に届けるのにかかった費用(リーチ単価)を確かめ、次の計画に生かします。
見積もりを見るときのチェックポイント
・世帯か個人か:GRPが世帯視聴率か個人視聴率かで、数字の大きさが変わります。
・だれを数えたGRPか:個人全体か、特定の性別・年代かを確認します。
・期間と出稿パターン:何週間で、どの時間帯の型で流すかで、リーチが変わります。
・リーチの見込み:GRPだけでなく、推定リーチや平均接触回数の見込みも確認します。
予算からGRPと本数を考えてみる
GRPとパーコストが分かると、予算からおおよその量を逆算できます。ここでは、考え方を示すための仮の数字で計算します(実際の単価は局・時期・時間帯で大きく変わります)。
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 1. 放映料の予算 | — | 300万円 |
| 2. パーコスト(仮) | 1GRPあたり3万円とする | — |
| 3. 買えるGRP | 300万円÷3万円 | 100GRP |
| 4. 1本あたりの視聴率(仮) | 平均4%の枠に流すとする | — |
| 5. 流せる本数の目安 | 100GRP÷4% | 約25本 |
※すべて仮の数字です。実際の見積もりでは、局が出す枠ごとの視聴率と単価で計算します。
この25本が、2週間で流れるのか、1か月で流れるのかでも、リーチと接触回数は変わります。短い期間に集めれば接触回数が増え、長い期間に散らせば接触回数は減ります。告知の日付が決まっているなら短期集中、名前を少しずつ覚えてもらいたいなら期間を延ばす、といった判断をします。
よくある質問
Q. GRPは多いほどよいのですか?
A. 多いほど量は増えますが、リーチはある程度まで行くと伸びにくくなります。同じ人に何度も届くだけになることもあるため、目標のリーチと回数に必要な量を見極めることが大切です。
Q. 番組提供(タイムCM)にもGRPは使いますか?
A. タイムCMの料金は番組の価値で決まりますが、効果の確認では、スポットと同じようにGRPやリーチで見ることができます。
Q. 録画やあとから見た分は含まれますか?
A. ビデオリサーチは、放送と同時に見た「リアルタイム視聴」に加えて、録画などであとから見た「タイムシフト視聴」も調べています。見積もりやレポートが、どの視聴を数えた数字かを確認しましょう。
まとめ:GRPは「量」、リーチと回数で「届き方」を見る
・GRPは流したCMの視聴率の合計で、テレビCMの量を表す
・リーチは1回でも届いた人の割合、フリークエンシーは届いた回数
・同じGRPでも、地区・局数・時間帯で届き方が変わる
・パーコスト(1GRPあたりの料金)×GRPで、スポットCMの放映料を考える
・目標のリーチと回数から必要なGRPを出し、放映後に結果を確かめる
買い方の基本はテレビCMとは?基本的な内容、秒数とGRPの関係はテレビCMの秒数は15秒か30秒か、予算の考え方はテレビCMは中小企業でも成立する?をご覧ください。


