CMのタレント・モデル起用と権利|出演契約で決めることと肖像権・パブリシティ権の基本

「CMにタレントやモデルを起用するとき、どんな契約が必要なの?」

「社員や一般の人に出てもらう場合は、何に気をつければいいの?」

結論から申し上げると、出演者を起用するときは「どの媒体で」「どの地域で」「いつまで」使えるかを、撮影の前に契約で決めておくことが大切です。CMの出演者には使用期間があり、テレビCMでは1年が一般的です。期間を過ぎて使い続けるには、更新の手続きと費用がかかります。社員や一般の方に出てもらう場合も、書面で同意をもらっておきます。

この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、CMの出演者の種類、起用の流れ、出演契約で決めること、肖像権とパブリシティ権の基本、トラブルを防ぐポイントをまとめます。

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CMの出演者の種類

出演者特徴向いているCM
有名タレント・俳優知名度で注目を集めやすい。出演料が高く、スケジュールの調整も必要全国への告知、ブランドのイメージづくり
モデル・役者(事務所に所属)役柄に合わせて選べる。出演料は条件によって幅がある生活の場面を見せるCM、商品の使い方を見せるCM
ナレーター・声優声だけで出演する。声のイメージで印象が大きく変わるすべてのCM。アニメーションのCMでは特に重要
社長・社員本物らしさや親しみが伝わる。出演料はかからないが、退職などへの備えが必要地域の企業、採用、会社紹介
一般の方・お客様リアルな声や表情が伝わる。同意の取り方と表現に注意が必要お客様の声を紹介するCM

出演者を選ぶときの観点

知名度だけで選ぶと、商品のイメージと合わなかったり、予算の多くを出演料が占めてしまったりします。次の観点で考えます。

・届けたい人に好かれているか:届けたい年代や性別の人が、親しみや信頼を感じる人か。

・商品やブランドのイメージに合うか:明るさ、誠実さ、上品さなど、伝えたい印象と合っているか。

・役柄を自然に演じられるか:生活の場面を見せるCMでは、知名度より、その場にいそうな自然さが大切なこともあります。

・ほかの広告との重なり:同じ時期に、似た業種の広告にたくさん出ていると、見る人がどの会社のCMか混同することがあります。

・予算とのバランス:出演料と、放送や配信の費用のバランスを考えます。出演料に予算を使いすぎて、流す回数が足りなくなっては本末転倒です。

起用までの流れ

ステップ内容
1. 条件を決める役柄、年代、雰囲気、使う媒体、地域、期間、予算を決める
2. 候補を出す事務所に条件を伝え、候補の資料(写真、プロフィール)を集める
3. 空き状況と条件の確認撮影日の予定、ほかの会社のCMとの重なり(競合)、出演料の目安を確認する
4. オーディション(必要な場合)実際に演技や読み方を見て決める
5. 契約使える媒体・地域・期間・出演料・競合の制限などを書面で取り決める
6. 撮影・収録衣装合わせを経て、撮影や収録を行う

有名タレントの場合は、事務所が企業や商品の内容、ほかのCMとの関係を確認するため、返事までに時間がかかることがあります。放送開始日が決まっている場合は、早めにご相談ください。

出演契約で決めること

項目決めること
使用媒体テレビCMだけか、TVer・YouTube・SNS・自社サイト・店頭・ポスターなどでも使うか
使用地域全国か、特定の地域か。海外でも使うか
使用期間いつからいつまで使えるか。テレビCMでは1年が一般的
出演料撮影日数、使用媒体、期間に応じた金額
競合の制限契約期間中、同じ業種のほかの会社の広告に出ないようにするか
素材の使い方撮影した写真をポスターやWebで使うか。CMの一部を切り出して使うか
更新の条件期間を延ばすときの手続きと費用
契約を終える場合出演者側の事情で広告が使えなくなった場合の取り決め

あとから「Webでも流したい」「ポスターにも写真を使いたい」となると、追加の契約と費用が必要になることがあります。使う予定がある媒体は、最初にまとめて伝えておくのが確実です。テレビとWebでの使い回しの考え方はテレビCMとWeb動画の作り分けで解説しています。

肖像権とパブリシティ権の基本

肖像権は、自分の顔や姿を、許可なく撮影されたり公開されたりしない権利です。法律の条文で決められた権利ではありませんが、裁判例で認められてきました。有名人かどうかに関係なく、だれにでもあります。

パブリシティ権は、有名人の氏名や肖像などが持つ「お客様を引きつける力(顧客吸引力)」を、本人が独占して使える権利です。最高裁判所は2012年2月2日の判決で、この権利を認めました。判決では、氏名や肖像などを「商品等の広告として使用する場合」などに、権利の侵害になるとしています。

つまり、有名人の写真や名前を、許可なくCMや広告に使うことはできません。似ている人を起用して本人と思わせるような表現も、トラブルのもとになります。

声の出演者にも権利がある

ナレーターや声優、俳優、歌手などは、著作権法で「実演家」とされ、録音・録画や放送、インターネットでの配信などについての権利(著作隣接権)を持ちます。文化庁も、実演家には録音権・放送権・送信可能化権などがあると説明しています。

そのため、ナレーターについても、使用媒体と期間を決めて契約します。ナレーター1名の更新費の目安など、費用の考え方はCM制作の費用相場をご覧ください。

社員や一般の方に出てもらうとき

・書面で同意をもらう:どの媒体で、いつまで使うかを書いた同意書に署名してもらいます。

・退職したときの扱いを決める:出演した社員が退職した場合に、CMをいつまで使うかを、あらかじめ決めておきます。

・お客様の声は内容に注意する:実際のお客様の感想を使う場合も、内容が誇大にならないようにします。消費者庁は、体験談を使う広告について、都合のよい体験談だけを使うと不当表示になるおそれがあると整理しています(2018年6月公表の打消し表示に関する留意点)。

・子どもの出演は手続きを確認する:子どもの出演には、労働基準法の決まりがあります。たとえば、13歳未満の子どもを映画製作や演劇の仕事で働かせるには、労働基準監督署長の許可が必要です。事務所や制作会社と一緒に、必要な手続きを確認します。

トラブルを防ぐ5つのポイント

1. 使う予定の媒体はすべて最初に伝える。テレビCMのほか、SNS、店頭、展示会、採用サイトなど、使う可能性のある場所をリストにしておきます。

2. 期限を管理する。出演者ごとの使用期限を一覧にし、期限の前に更新するか終了するかを決めます。期限を過ぎたCMや写真は、Webサイトや店頭からも外します。

3. 競合の制限を確認する。起用したい人が、同じ業種のほかの会社の広告に出ていないか、契約前に確認します。

4. もしものときの対応を決める。出演者の事情で広告を使えなくなった場合に、差し替えや費用をどうするかを契約で取り決めます。

5. 撮影した素材の扱いを決める。撮影した写真や、使わなかったカットを、別の広告に使えるかどうかも確認しておきます。

よくある疑問

Q. 有名タレントの出演料はいくらくらいですか?

タレントごと、条件(媒体・地域・期間・撮影日数)ごとに大きく異なり、決まった相場はありません。知名度の高いタレントほど、出演料が制作費の大きな割合を占めることがあります。ご予算と条件をうかがったうえで、事務所に確認してお見積もりします。

Q. 地域限定のCMなら、出演料は安くなりますか?

使う地域や媒体をしぼると、条件によっては出演料を抑えられることがあります。どこまで条件をしぼれるかは、事務所との相談になります。

Q. 使用期間が切れたCMは、どうなりますか?

期間を過ぎると、そのCMは使えなくなります。使い続ける場合は、期限の前に更新の手続きをします。フリーザロックエージェントでは、期限を管理し、事前にご案内しています。

Q. 出演者を使わずにCMを作ることはできますか?

できます。商品だけを見せる映像、イラストやアニメーション、テロップ中心のCMなら、出演者の起用料や更新費がかかりません。ナレーションも、用途によってはAIナレーションを使う方法があります。

まとめ:媒体・地域・期間を、撮影前に決める

・出演者には使用期間があり、テレビCMでは1年が一般的。使い続けるには更新費がかかる

・契約では、使用媒体・地域・期間・出演料・競合の制限・素材の使い方を決める

・有名人の氏名や肖像を広告に使うには、本人側の許可が必要(パブリシティ権)

・社員や一般の方の出演も、書面で同意をもらい、退職時の扱いまで決めておく

フリーザロックエージェントでは、出演者やナレーターの使用期間の管理まで、CMを使い続けるための実務をお引き受けしています。制作の全体の流れはCM制作の流れと期間、表現の法律の基本は広告の表現で注意したい法律と権利をご覧ください。

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