「全国ではなく、自分たちの県だけでテレビCMを流せるの?」
「ローカル局と独立局って、何が違うの?」
結論から申し上げると、テレビCMは地域の放送局を選べば、県や地方の単位で流せます。日本のテレビ放送は32の地区に分かれていて、地区ごとに放送局があります。キー局の系列に入っている「ローカル局」と、系列に入っていない「独立局」があり、どちらも地域を絞ったCMに使えます。商圏と放送エリアが合っているかが、成功の分かれ目です。
この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、ローカル局・独立局の違い、地域でCMを流すときの買い方、商圏との合わせ方、注意点をまとめます。
テレビ局の種類
民放のテレビ局は、大きく「キー局」「準キー局」「ローカル局」「独立局」の4つに分けられます(ビデオリサーチ VR Digest plus の解説より)。
| 種類 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| キー局 | 東京にあり、系列の中心として全国向けの番組を多く作る | 日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ |
| 準キー局 | 関西・中京などの大きな地区の中心になる局 | 大阪・名古屋の系列局 |
| ローカル局 | キー局の系列に入り、県などの地域で放送する局 | 各県の系列局 |
| 独立局 | どの系列にも入らず、県域などで独自に放送する局 | TOKYO MX、tvk、チバテレ、テレ玉など |
日本民間放送連盟の会員社の一覧では、地上波でテレビ放送を行う会員社は、テレビ単営96社、ラジオとテレビの兼営31社の合わせて127社です(2026年10月に確認)。
放送エリアは32地区
ビデオリサーチは、地上波のテレビ放送エリアを全国32地区に分けて、視聴率を調査しています。関東は1都6県がまとまった1つの地区で、関西や中京も複数の府県にまたがります。そのほかの多くの地区は、県単位です。
そのため、関東のキー局でCMを流すと、東京だけでなく関東一円に流れます。一方で、多くの地方では県の単位でCMを流せます。
地域でテレビCMを流す買い方
ローカルスポット。地域の局に、期間と本数を決めてCMを流す方法です。番組を決めずに、決めた期間にまとめて流します。新店のオープンやセールなど、日付の決まった告知に向いています。
ローカルタイム。地域の局の番組のスポンサーになる方法です。キー局が作る番組でも、その局のエリアだけで流れるものは「ローカルタイム」です(ビデオリサーチの解説より)。地域の情報番組などに継続して提供すると、地元での知名度や信頼づくりに役立ちます。
SAS。CMを1本(15秒)単位で、番組や時間帯を選んで買える仕組みです。対応している局と枠は限られるため、エリアごとに確認が必要です。
同じGRPでも、地区によって届き方が違う
ビデオリサーチのシミュレーション例(VR Digest plus、2025年10月)では、個人全体に500GRPを同じ流し方で出した場合、新潟地区は関東地区より推定リーチが5.2ポイント高く、平均接触回数は0.5回少ない結果でした。地方のほうが「広く浅く」届いたという例です。
また、ビデオリサーチは、局が多い地区ほどリーチが高くなりやすいと説明しています。地方には民放の局が少ない地区もあり、使える局の数で届き方が変わります。関東の実績をそのまま地方に当てはめず、地区ごとに見込みを立てることが大切です。
商圏と放送エリアを合わせる
ローカルでテレビCMを成功させるいちばんのポイントは、自社のお客さまがいる範囲(商圏)と、放送エリアが合っているかです。
| 商圏の広さ | テレビCMとの相性 | 考え方 |
|---|---|---|
| 県全体、または複数の県 | 合いやすい | 県域の局でエリアのほとんどをカバーできる |
| 県の一部(数市町村) | 無駄が出やすい | 商圏の外にも流れる分を、費用として受け入れられるか検討する |
| 関東の1〜2市だけ | 無駄が大きい | 関東一円に流れるため、TVer広告やシネアドなど地域を細かく絞れる媒体と比べる |
電波は県境を越えて隣の県に届くこともあれば、県内でも山などで届きにくい場所があります。放送局が公表しているエリアと、実際の商圏を地図で重ねて確かめましょう。
独立局の特徴
独立局は、キー局の系列に入っていないテレビ局です。関東では、TOKYO MX(東京)、tvk(神奈川)、チバテレ(千葉)、テレ玉(埼玉)などがあります。
県域で流せる。関東のキー局は1都6県に流れますが、独立局は主にその都県を中心に放送します。たとえば神奈川県内のお客さまに届けたい場合、関東全体に流すよりもエリアの無駄を抑えやすくなります。
番組の色が独自。独立局は、地域の情報、スポーツ中継、アニメ、通販番組など、局ごとに特色のある番組を編成しています。届けたい人がよく見る番組があるかを確かめると、選びやすくなります。
系列局との組み合わせ。独立局だけで届かない層には、系列局のスポットや、BS・CS、TVer広告を組み合わせる方法もあります。
独立局で流せるCMの枠や料金は、局によって大きく異なります。エリアの人口や視聴率も局ごとに違うため、複数の局を比べて選ぶことが大切です。
ローカルCMが向いているケース
・県内に複数の店舗がある:スーパー、ドラッグストア、自動車販売店、飲食チェーンなど
・住まいの関連:住宅会社、リフォーム、住宅展示場、不動産
・地域の暮らしに関わるサービス:地方銀行、信用金庫、病院、学習塾、冠婚葬祭
・地域のイベントや観光:イベント、レジャー施設、観光の呼びかけ
・地元での採用:地元で働く人を集めたい企業の採用広告
いずれも「お客さまが県内にいて、繰り返し利用する」タイプのビジネスです。地元の人がよく見る番組と組み合わせると、なじみのある会社として覚えてもらいやすくなります。
ローカルCMの注意点
・初めての局は考査に時間がかかる:CMを流す局ごとに、広告主と内容の審査(考査)があります。初めて取引する局では、書類のやり取りに時間がかかる場合があります。
・局ごとに搬入が必要:複数の局で流す場合、局ごとの仕様に合わせて素材を納める必要があります。
・買える枠は局と時期で変わる:人気の番組や時期は枠が埋まりやすく、希望どおりに流せない場合があります。
・受け皿を用意する:CMを見た人が検索したときに、地域の店舗情報や問い合わせ先がすぐ分かるようにしておきます。
TVer広告と組み合わせる
TVerの広告は、市区町村の単位で配信先を絞れます。テレビCMで県全体に知ってもらい、TVer広告で商圏の中や、テレビをあまり見ない若い世代に届ける、という組み合わせも考えられます。総務省の「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2026年6月公表)では、平日にテレビをリアルタイムで見た人の割合は、10代で44.3%、20代で42.7%でした。一方、60代は88.1%、70代は91.9%で、年代による差が大きいことが分かります。
地域でテレビCMを始めるまでの流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 商圏を確かめる | お客さまがいる市町村を洗い出し、放送エリアと重ねる |
| 2. 局と買い方を決める | エリアの局、スポットか番組提供か、期間と本数を決める |
| 3. 考査の準備 | 会社の資料や許認可などを用意し、局の審査を受ける |
| 4. CMを用意する | 新しく作るか、手持ちの動画を局の仕様に合わせて使う |
| 5. 素材を納める | 局ごとの締切と仕様に合わせて搬入する |
| 6. 放映とふり返り | 放映後に、届いた量と問い合わせ・来店の変化を確かめる |
初めての局では、考査に時間がかかることがあります。放映したい日から逆算して、早めに準備を始めましょう。
よくある質問
Q. ローカル局のCMは、いくらから出せますか?
A. 局、時期、時間帯、本数で大きく変わります。当社では、ローカル局のスポットは月30万円からを目安としてご案内しています(概算)。予算とエリアを伺い、その範囲で組める案をお出しします。
Q. 隣の県にも流れてしまいますか?
A. 電波は県境を越えて届くことがあります。隣の県にもお客さまがいれば、むしろ利点になる場合もあります。商圏の外に流れる分も含めて、費用に見合うかを考えます。
Q. 複数の県で流したい場合はどうしますか?
A. 県ごとに局を選んで、それぞれにスポットを発注します。県によって局の数や視聴率、料金が違うため、県ごとに本数を調整します。広い地方全体に届けたい場合は、BS・CSと組み合わせる方法もあります。
Q. 地元の情報番組で紹介してもらうことはできますか?
A. 番組の内容は放送局が決めるため、CMの出稿と番組での紹介は別のものです。番組提供では提供の表示やCMが入りますが、番組の中身を広告主が決めるものではありません。
まとめ:商圏と放送エリアが合えば、地域のテレビCMは強い
・テレビ局にはキー局、準キー局、ローカル局、独立局がある
・放送エリアは全国32地区で、多くの地方では県単位でCMを流せる
・ローカルスポット、ローカルタイム、SASで、地域に合わせた買い方ができる
・同じGRPでも地区や局数で届き方が変わるため、地区ごとに見込みを立てる
・商圏が狭い場合は、TVer広告など細かく絞れる媒体との組み合わせを考える
予算の考え方はテレビCMは中小企業でも成立する?、地域を細かく絞る方法はテレビCMとTVer広告の違い、放映までの準備はテレビCM放映までの流れと期間をご覧ください。


