「ラジオCM用に作った音源があるから、radikoにもそのまま出せるはず」
この前提で進めて、配信直前に差し戻しになるケースが実際にあります。
結論から申し上げると、radiko audio Ad(ラジコ オーディオアド)の入稿規定は、地上波ラジオCMの素材搬入基準とは別物です。とくに平均ラウドネス値は地上波が−24.0LKFS、radikoが−14±1LKFSと10dBも違います。同じ「ラジオの広告」という言葉でくくられていますが、デジタルの広告商品として設計されているため、仕様は独立しています。
この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、radiko audio Adの入稿規定を項目ごとに整理したうえで、実務で差し戻しになりやすい5つのパターンと、配信日から逆算した期日の考え方までをまとめます。
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【結論】radikoの入稿規定は地上波ラジオCMとは別物。まず違う3点を押さえる
細かい表に入る前に、地上波ラジオCM用の素材をお持ちの方が最初に確認すべき違いは3つです。この3点さえ合っていれば、残りの項目はほぼ通ります。
| 項目 | 地上波ラジオCM | radiko audio Ad |
|---|---|---|
| 平均ラウドネス値 | −24.0LKFS(±1dB) | −14±1 LKFS |
| 素材の前後の無音 | 0.1〜0.5秒のノンモン | 規定秒数の中で、開始点後0.1〜0.5秒・終了点前0.1〜0.5秒 |
| 搬入の経路 | RadiPos(オンライン送稿システム)経由で各局へ | 広告会社経由でradikoへ直接入稿 |
| 提出の期日 | 放送日の4日前(中3営業日) | 掲載開始の3営業日前 |
| ファイル形式 | リニアPCM(wav) | .wav または .mp3 |
最も事故が多いのはラウドネス値です。−24.0LKFSで作った素材をそのまま送ると、規定未達として受領されません。
本記事の仕様は「radiko Ad媒体資料 2026年4-9月版」に基づく2026年9月時点の情報です。radikoの媒体資料は半期ごとに改訂されるため、実際の出稿時は必ず最新版をご確認ください。地上波ラジオCM側の数値は日本民間放送連盟「ラジオCM素材搬入基準【2023年11月改訂版】」に基づきます。
地上波ラジオCMの音源は、少なくともラウドネス調整をしないとradikoには出せません。
音声ファイルの入稿規定|全7項目
radiko audio Adに入稿する音声ファイルの規定は次のとおりです。制作会社へ発注する際は、この表をそのまま渡していただいて構いません。
| 項目 | 規定 | 補足 |
|---|---|---|
| ファイル形式 | .wav または .mp3 | どちらでも受け付けられます |
| サンプリング周波数 | 48kHz | 地上波ラジオCMと同じ |
| 量子化ビット数 | 16bit | — |
| チャンネル数 | 2ch(ステレオ) | モノラルは不可 |
| ビットレート | wav:1.5Mbps / mp3:128〜192kbps | mp3で納品する場合はこの範囲に収める |
| 平均ラウドネス値 | −14±1 LKFS | 最重要。地上波の−24.0LKFSとは10dB違う |
| トゥルーピーク値 | −1dBTP | クリップを避けるための上限 |
秒数は10秒から60秒まで。選べる幅が地上波より広い
配信できる秒数は10秒・15秒・20秒・30秒・40秒・60秒の6種類です。秒数に応じて広告在庫の量と単価が変わるため、長ければ良いというものではありません。
見落とされがちなのが、無音の扱いです。規定秒数の「中に」無音を含める必要があります。
具体的には、CMの規定秒数の中で、開始点の後に0.1秒以上0.5秒以下、終了点の前に0.1秒以上0.5秒以下の無音を入れます。20秒素材であれば、実際に音が鳴っているのは19秒前後になる計算です。原稿の文字数を詰めすぎると、この無音が確保できなくなります。
この無音は「聴感上の理由」で設けられているものです。前の音声コンテンツから広告へ、広告から次のコンテンツへ切り替わる瞬間に音が重なって聞こえるのを防ぐためのもので、削ってよい余白ではありません。
ラウドネス−14±1LKFS、48kHz/16bit/2ch、前後に0.1〜0.5秒の無音。この3つが音声ファイルの核です。
音声ファイル以外に必要なもの|広告原稿テキストとコンパニオンバナー
入稿するのは音声ファイルだけではありません。忘れられやすいものが2つあります。
広告原稿テキスト(必須)
音声ファイルと合わせて、読み上げ内容を書き起こしたテキストの提出が必須です。
これは審査に使われます。音声だけでは審査担当が内容を精査できないため、テキストがないと審査そのものが進みません。「あとで送ります」が通らない書類です。制作会社に発注する際、納品物として音声ファイルと一緒に指定しておくと確実です。
コンパニオンバナー(任意・無償付帯)
音声広告の再生中に、radikoアプリの画面にバナーを表示できます。無償で付帯する枠のため、設定しない選択も可能です。設定する場合の規定は次のとおりです。
| 項目 | 規定 |
|---|---|
| ファイル形式 | jpg |
| サイズ | 300×250px または 640×640px |
| 容量 | 200KB以下 |
| 遷移先 | 広告主と同一ドメイン |
| 本数 | 1音源につき3クリエイティブまで(音源は1セグメントにつき3本まで) |
遷移先が「広告主と同一ドメイン」という条件に注意してください。
計測用に別ドメインの中間ページを挟む設計や、外部のランディングページへ飛ばす設計は、この条件に引っかかる可能性があります。計測タグやパラメーターについても、設定できない場合があるため事前確認が必要です。ここは制作より前の、設計の段階で握っておくべき項目です。
バナーはradikoの審査を通過したものだけが掲載されます。根拠の記載がない「No.1」表現、誇大表現、広告の主体が不明瞭な内容、コンプレックスを刺激する表現、過度にターゲティングを強調した内容はNG例として明示されています。また、バナー掲載時のキャプチャ報告には対応していません。
広告原稿テキストは必須、バナーは任意。バナーの遷移先が広告主と同一ドメインに限られる点は設計段階で確認を。
受領されない5つのパターン|実務で起きること
規定を一覧で見ると単純に思えますが、実際に差し戻しが起きるのは次の5パターンです。いずれも「知っていれば防げた」ものです。
パターン1:地上波ラジオCMの音源をそのまま送る
最も多いケースです。−24.0LKFSで書き出された素材は、radikoの−14±1LKFSという規定を満たしません。音量が小さすぎて、他のコンテンツの合間で埋もれてしまうためです。既存のラジオCM音源を使いたい場合は、元データ(収録済みのマスター)からの再書き出しが必要です。完成したファイルを増幅するだけでは、トゥルーピーク値が規定を超えることがあります。
パターン2:無音を入れ忘れる/規定秒数からはみ出す
ナレーションを目一杯詰めた原稿だと、前後の無音が確保できません。逆に無音を後ろに足した結果、規定秒数を超えてしまうケースもあります。無音は秒数の「中に」含めるという理解が要点です。
パターン3:広告原稿テキストを出さない
音声ファイルだけ先に送って審査を待ってしまい、実際には審査が始まっていなかった、というケースです。テキストは音声と同時に提出します。
パターン4:楽曲の権利処理が済んでいない
JASRAC管理楽曲やNexTone管理楽曲を使う場合、権利処理は広告主側で済ませたうえで素材を手配する必要があります。
媒体側が代行してくれるものではありません。権利処理に不備があって損害賠償請求などが生じた場合、その責任は広告主側に帰属すると明記されています。BGMを既成曲から選ぶ場合は、この点を制作会社と必ず確認してください。
パターン5:期日を過ぎてから入稿する
規定を満たさないファイルは受領されず、規定を満たしたファイルを受領してから3営業日以降の配信となります。つまり1回の差し戻しで、配信開始が3営業日以上ずれます。キャンペーンの開始日が動かせない場合、これは致命的です。
配信期間中に素材を差し替える場合も、すべての確認と入稿が完了したうえで中3営業日を経てから新しいクリエイティブが反映されます。即日の差し替えはできません。
差し戻し1回で配信開始が3営業日以上ずれます。規定の確認は制作前に行うのが最も安全です。
入稿の期日|7営業日前・5営業日前・3営業日前
radiko audio Adは、配信開始日から逆算して営業日ベースで期日が決まっています。掲載開始の7営業日前に事前情報の連携、5営業日前にお申し込みと原稿入稿、3営業日前に素材の入稿です。規定を満たさないファイルは受領されず、受領してから3営業日以降の配信になるため、差し戻し1回で開始日が1週間近くずれます。
この期日には審査の期間が含まれていません。企業・商材の審査は結果の連絡が通常、中3営業日以内です。ただしクリエイティブ審査は放送局各社にも確認が行われるため、内容によってはさらに日数がかかります。素材が既にあり規定を満たしている場合で配信開始の3〜4週間前、音声素材を新規制作する場合や初めての出稿では2か月前がご相談の目安です。
ケース別の所要期間、審査が伸びる条件、間に合わないときに削れる工程・削れない工程は、radiko広告の出稿スケジュールの記事で営業日ベースの逆算表とあわせて詳しく整理しています。
入稿は3営業日前。ただし審査と制作を含めると実質1〜2か月前から動く必要があります。
既存のラジオCM音源を使いたい場合、どうするか
「制作費をもう一度かけたくない」というご要望は当然のものです。結論としては、条件次第で流用できます。
流用できるケース
- 収録済みのマスターデータ(編集前の素材)が手元にある場合。ラウドネスを規定値に合わせて書き出し直せます
- 秒数が10・15・20・30・40・60秒のいずれかに収まっている場合
- 使用している楽曲の権利処理が、デジタル配信も含めて済んでいる場合
作り直しが必要になるケース
- 完成ファイルしか残っておらず、増幅するとトゥルーピーク値が規定を超えてしまう場合
- 秒数が規定外(たとえば25秒など)の場合
- BGMの利用許諾が地上波放送に限定されている場合
- 放送局のスタジオで制作した素材で、他媒体での使用に制約がある場合
判定だけでもお引き受けしています。音源とその制作時期・制作元をお知らせいただければ、そのまま使えるかどうかをお調べします。
また、radikoには一定の出稿規模を満たす場合に音声素材を1本無償で制作できるメニューがあります。スタジオ収録・宅録・AI音声から選べるもので、適用条件を満たすかどうかは見積時に確認できます。作り直しが必要と判明した場合でも、追加の制作費が発生しないことがあります。
マスターデータが残っていれば書き出し直しで対応できます。まずは音源の素性を確認してください。
よくあるご質問
Q. モノラルの音源は使えますか?
規定は2ch(ステレオ)です。モノラル素材をステレオに変換して書き出す必要があります。
Q. mp3とwavのどちらで納品すべきですか?
どちらでも受け付けられます。mp3の場合は128〜192kbpsの範囲に収めてください。音質劣化を避けたい場合はwav(1.5Mbps)が無難です。
Q. 1つのキャンペーンで複数の音源を出し分けられますか?
できます。1セグメントあたり音源は3本まで、コンパニオンバナーは1音源につき3クリエイティブまで設定できます。なお配信期間中に音源を差し替える場合は、すべての確認と入稿が完了してから中3営業日を経て新しいクリエイティブが反映されます。
Q. 配信の開始日を土日にできますか?
原則として平日開始での調整をお願いしています。配信状況の確認を確実に行うためで、休日開始の場合、万一配信不備が発生しても対応が翌営業日になります。
Q. Spotifyやポッドキャストの入稿規定も同じですか?
異なります。本記事はradiko audio Adの規定です。配信面ごとに秒数の考え方も仕様も違うため、複数面へ同時に出す場合は面ごとに書き出しを用意します。
面が変われば規定も変わります。同じ音源でも書き出しは面ごとに必要です。
まとめ:radikoの入稿規定は『地上波と別物』と理解した時点で、ほぼ事故は防げる
radiko audio Adの入稿規定で押さえるべき核は3つです。平均ラウドネス−14±1LKFS(地上波の−24.0LKFSとは10dB違う)、48kHz/16bit/2ch、そして規定秒数の中に前後0.1〜0.5秒の無音を含めること。加えて、広告原稿テキストの同時提出が必須で、コンパニオンバナーの遷移先は広告主と同一ドメインに限られます。
期日は、掲載開始の7営業日前に事前情報の連携、5営業日前にお申し込み、3営業日前に入稿。規定を満たさないファイルは受領されず、受領後3営業日以降の配信になるため、差し戻し1回で開始日が1週間近くずれます。さらに初めての出稿では、地上波ラジオの放送実績がない場合に履歴事項全部証明書の提出が必要になります。
仕様そのものは複雑ではありません。難しいのは、制作・審査・入稿の担当が分かれた状態で、誰がどこまで確認するのかが曖昧になることです。発注の時点でこの記事の表をそのまま渡していただければ、配信直前に慌てる事態は避けられます。
フリーザロックエージェントでは、radiko audio Adの企画設計から審査対応、規定に合わせた音声素材の制作・書き出し、入稿、配信後のレポートまでをワンストップでお引き受けしています。「手元の音源が使えるか判定してほしい」「規定に合わせた書き出しだけお願いしたい」というご依頼にも対応しています。お気軽にお問い合わせください。
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