「うちの商材は、radikoの審査に通りますか」
出稿をご検討の段階で必ず出てくるご質問です。そして地上波ラジオCMの考査を通った実績がある企業からも、同じように聞かれます。
理由は単純で、radikoの審査は地上波ラジオCMの考査とは体系が別物だからです。地上波は放送局ごとに考査があり、民放連の放送基準を軸に原稿の段階で決着します。一方でradikoはradikoの審査担当が考査を行い、音源と原稿テキストを提出しないと審査そのものが始まりません。そして最終的な掲載可否を判断するのは、radikoではなく参加放送局各社です。その結果として「全体は通ったが、特定の局だけが配信から外れる」という、地上波には存在しない結末があります。
この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、radiko audio Ad(ラジコ オーディオアド)の審査を実務の順番どおりに整理します。民放連の放送基準の条項や業種別の注意点そのものはラジオCMの考査の記事にまとめてありますので、本記事はradiko固有の論点に絞ります。
【結論】radikoの審査は地上波の考査と3点違う
地上波ラジオCMの経験がある方が最初に押さえるべき違いは3つです。この3点を理解しているかどうかで、スケジュールの読み方が変わります。
| 項目 | 地上波ラジオCM(考査) | radiko audio Ad(審査) |
|---|---|---|
| 考査を行うのは誰か | 出稿する放送局ごと(局ごとに考査) | radikoの審査担当。クリエイティブ審査は放送局各社にも確認 |
| 最終的な掲載可否 | 出稿する放送局 | 参加放送局各社。各局の基準を満たさない場合はその局が配信除外 |
| 手続きの回数 | 局ごとに必要で一本化されていない | radikoへ1回 |
| 提出のタイミング | 原稿の段階で判断できる | 音源と広告原稿テキストの提出が必要 |
| 通らなかった場合 | その局への出稿を見直す | 改稿、または該当局のみ配信除外 |
| 手戻りの大きさ | 収録前に決着するので小さい | 収録後の指摘は作り直しになりうる |
最大の違いは3行目です。地上波は「言葉の状態」で決着をつけられますが、radikoは音源が要るため、審査で止まると制作費が無駄になる可能性があります。
だからこそ当社では、音源を収録する前に、原稿テキストの段階で規定と表現を先に確認する進め方をとっています。radikoでは要件が固まる前の段階でも業態審査の相談を受け付けており、見積の相談とあわせて企業・商材について事前に確認できます。さらに掲載基準を個別に定めている業種(医薬品・医薬部外品・化粧品、健康食品、機能性表示食品、医療機関、金融商品、不動産、求人など)については、必ず事前に素材審査を行ったうえで掲載可否が判断されます。
事前に見通しをお伝えしますが、最終判断は媒体および放送局が行います。当社の事前確認は結果を保証するものではありません。この点は誤解が生じやすいので、提案の段階で必ずお伝えしています。
判断するのはradiko、手続きは1回、ただし音源の提出が必要。ここが地上波と決定的に違います。
審査は2種類|企業・商材の審査とクリエイティブの審査
radikoには企業・商材の審査とクリエイティブの審査があります。別々の手続きというより、まとめて提出して同時に判断を受ける形です。ここを知らずに進めて配信直前に止まるのが、初めての出稿でいちばん多いつまずきです。
企業・商材の審査
広告主がどういう企業で、何を売っているかを見る審査です。企業情報と商材情報を提出します。許認可が必要な業種であれば、その確認も含まれます。
クリエイティブの審査
実際に流れる音源と、その読み上げ内容を書き起こした広告原稿テキストを提出します。コンパニオンバナーを併載する場合は、バナー素材と遷移先URLも対象です。
広告原稿テキストは必須です。提出しないと審査が始まりません。
音声だけでは審査担当が内容を精査できないため、テキストがない状態では手続きが進みません。「あとで送ります」が通らない書類です。制作会社に発注する際、納品物として音声ファイルと一緒に指定しておくと確実です。
コンパニオンバナーは無償で付帯する枠ですが、バナー単体では出稿できず、審査も別途必要で、審査を通ったものだけが掲載されます。遷移先が広告主と同一ドメインに限られる点もあわせて、設計の段階で確認しておいてください。
企業・商材とクリエイティブの両方が対象。広告原稿テキストがないと審査は始まりません。
提出するもの|「履歴事項全部証明書」が必要になる条件
提出物は、通常のケースと、地上波ラジオでの放送実績がないケースで変わります。
| 提出物 | 必須か | 備考 |
|---|---|---|
| 企業情報 | 必須 | — |
| 商材情報 | 必須 | 許認可が必要な業種は確認が入る |
| 音源(規定に適合したもの) | 必須 | 入稿規定に合っていないものは審査以前に受領されない |
| 広告原稿テキスト | 必須 | 提出しないと審査が始まらない |
| バナー素材と遷移先URL | 併載する場合のみ | 審査を通ったものだけ掲載可 |
| 履歴事項全部証明書 | 条件付き | 地上波ラジオでの放送実績がない企業 |
地上波ラジオでの放送実績がない企業は書類が要る
地上波ラジオでの放送実績がない企業の場合、「履歴事項全部証明書」の提出を求められます。法務局で取得する登記の証明書で、取得そのものに数日から1週間程度かかります。初めての出稿でスケジュールが読めなくなる最大の要因がここです。
これは競合の解説記事でほとんど触れられていない、実務上の重要な前提です。当社では初回の打ち合わせで放送実績の有無を必ず確認し、実績がない場合は書類の取得を初日に動かします。審査の回答を待ってから取りに行くと、そこで1週間が積み増しになります。
地上波での放送実績がない企業は履歴事項全部証明書が必要。取得を初日に動かすのが定石です。
通らない表現|明示されている5つのNG例
コンパニオンバナーについては、次の5つがNG例として明示されています。音声側も同じ考え方で見られます。
- 根拠の記載がない「No.1」表現
- 誇大表現
- 広告の主体が不明瞭な内容
- コンプレックスを刺激する表現
- 過度にターゲティングを強調した内容
実務でいちばん多いのは1つ目と5つ目です。
「No.1」「地域最安」といった訴求は、調査の出典・調査対象・調査期間を明記できるかで結論が変わります。出典を添えられるなら通る可能性があり、添えられないなら表現そのものを変えるほうが早いです。
5つ目は音声広告に特有の論点です。radikoは配信条件を細かく指定できますが、「〇〇にお住まいのあなたへ」「〇〇歳のあなたに」のように、ターゲティングしていること自体を訴求に使う表現は避けてください。聴いている人に不快感を与えるためで、これはradikoに限らずデジタル広告全般の考え方と同じです。
音声ならではの注意点|耳で聞いたときの印象
文字で読めば問題のない原稿でも、読み上げると印象が変わることがあります。断定の強さ、語尾の勢い、同音異義語の聞き間違いなどです。この観点は地上波ラジオCMと共通なので、ラジオCMの考査の記事で具体例とあわせて整理しています。医療・健康食品・金融・不動産といった業種別の注意点と、民放連の放送基準の該当条項もそちらにまとめてあります。
根拠なしのNo.1表現と、ターゲティング自体を訴求に使う表現が実務で最も多く止まります。
放送局への確認が回るとどうなるか|「局単位の配信除外」という結末
ここがradiko固有の、そしてほとんど解説されていない論点です。
クリエイティブ審査は、radikoでの審査とあわせて放送局各社にも確認が行われます。企業・商材の審査についても、radikoの審査担当が判断に迷う内容であれば放送局へ確認が回ります。radikoは民放連加盟のラジオ放送局が参加するプラットフォームであり、各局が独自の掲載基準やガイドラインを持っているためです。
radikoの掲載基準を満たしていても、参加放送局が独自に定める掲載基準やガイドラインを満たしていない場合は、その局のみが配信除外になります。そして局名の開示はありません。
あわせて押さえておきたいのは、審査やクリエイティブ確認の回答は「可」か「不可」のみで、判断した理由は開示されないという点です。「どこを直せば通るのか」を媒体側から教えてもらうことはできません。だからこそ、提出する前に表現を詰めておく意味があります。
つまり「全体は通ったが、一部の局では流れない」という状態が起こりえます。地上波ラジオCMであれば、出稿する局を自分で選んでいるので通る/通らないが明快です。radikoは複数の局をまとめて買う商品であるため、この中間的な結果が存在します。
実務上の意味は2つあります。ひとつは、確認が回ると通常の中3営業日以内という目安を超えて日数がかかること。もうひとつは、特定エリアを狙った出稿の場合、そのエリアの局が除外されると設計の前提が崩れる可能性があることです。
エリアを絞った商圏集客の設計をしている場合、審査の見通しは配信量の見積と同じくらい重要です。当社では提案の段階で、商材と表現から「確認が回りそうかどうか」の見通しをお伝えしています。
放送局が独自基準で不可と判断すると、その局だけが配信除外になります。局名は開示されません。
審査にかかる期間|中3営業日が伸びる条件と再審査
結果の連絡は通常、中3営業日以内です。ただしこれは何事もなかった場合の日数です。
| 状況 | 期間への影響 |
|---|---|
| 問題なく通る | 中3営業日が目安 |
| 放送局への確認が発生 | 目安を超えて日数がかかる |
| 表現の指摘を受けて原稿を書き換える | 再審査。差し戻し1回で配信開始日が1週間近くずれる |
| 審査後にクリエイティブを大幅に変更 | 再審査が必要 |
| 配信途中で音源を差し替える | 差し替えた音源の審査が必要。すべての確認と入稿の完了後、中3営業日を経て反映 |
| 地上波での放送実績がない | 履歴事項全部証明書の取得に数日〜1週間 |
審査は入稿より前に完了していなければなりません。入稿は配信開始の3営業日前なので、審査の実質的な締切は配信開始の6営業日前です。
この逆算と、ケース別にご相談から配信開始まで何週間必要かはradiko広告の出稿スケジュールの記事で営業日ベースの表にまとめています。
目安は中3営業日。放送局確認・再審査・書類取得の3つで伸び、審査の実質締切は配信開始の6営業日前です。
審査を早く、確実に抜けるための実務
審査そのものを短くする手段はありません。短くできるのは、審査に入る前の準備と、差し戻しの回数です。
収録の前にやること
- 地上波ラジオでの放送実績の有無を確認する(ない場合は履歴事項全部証明書の取得を初日に動かす)
- 訴求の核になる表現(効能・比較・最上級・キャンペーン条件)を原稿より先に共有する
- 「No.1」などの優位性表現を使うなら、調査の出典・対象・期間を先に揃える
- 原稿テキストの段階で規定と表現の確認を済ませる
- バナーを併載するなら、遷移先が広告主と同一ドメインかを確認する
落ちる前提を減らすという考え方
商材や表現によっては通らない場合があります。ただし多くは「この表現を変えれば通る」という指摘の形で返ってきます。最初から通る原稿を書くより、指摘が返ってきたときに変えられる原稿を書いておくほうが、実務では効きます。訴求の核を1か所に集中させず、言い換えの余地を残しておく設計です。
当社はradiko audio Adの企画設計から審査対応、規定に合わせた音声素材の制作、入稿、配信後のレポートまでワンストップでお引き受けしています。「この商材は通るのか」という段階のご相談でも構いません。
短縮できるのは準備と差し戻しの回数。言い換えの余地を残した原稿が実務では効きます。
よくあるご質問
Q. 地上波ラジオCMの考査を通った音源なら、radikoの審査もそのまま通りますか?
考査を通った内容であれば表現面で通る可能性は高くなりますが、審査は別途必要です。またそもそも入稿規定が別物で、地上波の音源はラウドネス値がradikoの規定に合いません。表現の話と素材の話は分けて考えてください。
Q. 審査に落ちたら費用はかかりますか?
媒体費は配信されなければ発生しません。ただし音声素材を制作済みであれば制作費は発生しています。だからこそ収録前の表現確認を重視しています。
Q. どの業種が通りにくいですか?
許認可や表現規制がある業種は確認が増えます。医療・医薬品・化粧品、健康食品、金融、不動産などです。ただし業種で一律に判断されるわけではなく、訴求の内容次第です。ご相談の初期に商材をお聞かせいただければ見通しをお伝えできます。
Q. 複数の音源を出し分ける場合、審査は音源ごとに必要ですか?
クリエイティブごとに審査の対象になります。なお1セグメントあたり音源は3本まで、コンパニオンバナーは1音源につき3クリエイティブまで設定できます。パターンを増やすほど審査に出す点数が増えるため、スケジュールに織り込んでおく必要があります。
Q. 審査の結果に不服がある場合、再申請できますか?
表現を修正して再度審査に出すことは可能です。ただし同じ内容のまま再申請しても結論は変わりません。指摘の趣旨を踏まえて言い換える形になります。
Q. Spotifyやポッドキャストにもradikoと同じ審査がありますか?
面が変われば審査の体系も基準も変わります。同じ音源でも面ごとに手続きが必要です。複数の面に同時に出す場合は、最も厳しい面に合わせて表現を設計しておくと手戻りが減ります。
面が変われば審査も変わります。複数面に出すなら最も厳しい面に合わせて設計します。
まとめ:radikoの審査は『音源を作る前に、表現で決着をつける手続き』
radiko audio Adの審査で押さえるべき核は3つです。ひとつ目は、radikoには企業・商材の審査とクリエイティブの審査があり、音源と広告原稿テキストを提出しないと審査が始まらないこと。地上波ラジオCMのように原稿だけで決着させられないため、収録前の表現確認が費用対効果の高い予防策になります。
ふたつ目は、地上波ラジオでの放送実績がない企業には履歴事項全部証明書が必要で、その取得に数日から1週間かかること。初めての出稿でスケジュールが崩れる最大の要因です。
みっつ目は、判断に迷う内容だと参加放送局へ確認が回り、放送局が独自基準で不可と判断するとその局だけが配信除外になること。局名の開示はないため、エリアを絞った設計をしている場合は特に、審査の見通しを配信量の見積と同じ重さで扱う必要があります。
手続きそのものは複雑ではありません。難しいのは、制作・審査・入稿の担当が分かれた状態で、誰がどこまで確認するのかが曖昧になることです。当社では提案の段階で審査の見通しをお伝えし、原稿段階での表現確認から入稿、配信後のレポートまでまとめてお引き受けしています。「この商材は通るのか」だけのご相談でも構いません。
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