「SNS広告用に、縦型の動画を作りたい」
「テレビCMのような横型の動画とは、作り方が違うの?」
結論から申し上げると、縦型のSNS動画は「スマートフォンを縦に持ったまま、音なしでも、最初の数秒で伝わる」ように作ります。画面の比率は9:16が基本です。横型のCMをそのまま縦に切り出すと、主役が切れたり、文字が読めなくなったりするため、企画や撮影の段階から縦型を前提に設計するのがおすすめです。
この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、縦型動画の基本の仕様、横型との違い、企画・撮影・編集のコツ、配信しながら改善する方法をまとめます。
縦型動画とは
縦型動画は、スマートフォンの画面に合わせた、縦に長い動画です。画面の縦と横の比率(アスペクト比)は、9:16が基本です。YouTubeのショート、TikTok、Instagramのリールなど、スマートフォンで縦にスクロールしながら見るサービスで使われます。
各サービスの公式の案内でも、縦型が推奨されています。
| サービス | 公式の案内(要点) |
|---|---|
| YouTube ショートの広告 | 9:16の縦向き動画がショートのフォーマットに最適。ショートのフィードで再生されるのは最初の60秒で、60秒未満の動画を推奨。行動を促す広告では10〜30秒の縦向き動画を推奨 |
| TikTokのインフィード広告 | 5〜60秒で設定でき、21〜34秒を推奨。9:16をフルに使った動画はインプレッションが大きく上がったとしている |
※Google 広告 ヘルプ「YouTube ショートの広告: アセットの仕様とベスト プラクティス」、TikTok for Businessの資料(2021年5〜7月の広告クリエイティブ調査にもとづく)より(2026年10月に確認)。仕様は変わることがあるため、制作のときに最新の規定を確認します。
横型のCMとの違い
| 横型(テレビCMなど) | 縦型(SNS動画) | |
|---|---|---|
| 画面 | 16:9。風景や複数の人を広く見せやすい | 9:16。人物の上半身や商品を大きく見せやすい |
| 見られ方 | 最後まで流れる前提 | 指ですぐに次の動画へ移れる。最初の数秒が勝負 |
| 音 | 音が出ている前提 | 音なしで見られることもある。字幕が大切 |
| 画面の上下 | ほぼすべて使える | アカウント名、説明文、ボタンなどが重なる場所がある |
| 作り方 | 1本を長く流す | 複数のパターンを配信し、反応を見て入れ替える |
企画のコツ
1. 最初の2〜3秒で「何の動画か」を伝える。縦型の動画は、興味がなければすぐに次へ送られます。冒頭に、商品、悩み、意外な場面、問いかけなど、手を止めてもらえる要素を置きます。
2. 1本で伝えることは1つ。短い動画にたくさんの情報を入れると、どれも残りません。特長ごとに別の動画にして、配信しながら反応を比べるほうが効果的です。
3. 人が話しかける形も有効。縦型の画面は、人物の顔と上半身が大きく映ります。出演者がカメラに向かって話しかける構成は、縦型と相性のよい見せ方の1つです。
4. 広告らしさを出しすぎない。ふだんSNSで見ている投稿になじむトーンのほうが、見てもらいやすいことがあります。ただし、広告であることがわかるように、各サービスの広告の決まりにしたがって配信します。
縦型動画の構成例(15秒)
| 時間 | 見せること | 例(家事を楽にするサービスの場合) |
|---|---|---|
| 0〜3秒 | 手を止めてもらう一言と映像 | 「夕方の家事、まだ全部ひとりで?」と出演者がカメラに話しかける |
| 3〜10秒 | いちばん伝えたいことを1つ | サービスを使って、家事の時間が短くなる様子を見せる |
| 10〜13秒 | 信頼してもらう材料 | 料金の目安や、申し込みのかんたんさを字幕で見せる |
| 13〜15秒 | してほしい行動 | サービス名・ロゴと「まずは無料で相談」などの案内 |
同じ素材でも、冒頭の一言だけを変えたパターンを作ると、どの言葉が反応を集めるかを比べられます。
撮影のコツ
・縦型で撮るか、横型で撮って切り出すかを決める:縦型専用に撮れば画面を目いっぱい使えます。横型のCMと同時に撮る場合は、主役を画面の中央に置いて、縦に切り出しても欠けないようにします。
・寄りの映像を多めに撮る:スマートフォンの小さな画面では、広い風景より、人の表情や商品のアップのほうが伝わります。
・画面の上下に大切なものを置かない:縦型の画面の上下や右側には、サービスの表示やボタンが重なることがあります。顔や商品名、文字は、画面の中央寄りに収めます。
1回の撮影で横型と縦型の両方を作る方法はテレビCMとWeb動画の作り分けでも紹介しています。
編集のコツ
字幕を入れる。音を出さずに見る人にも内容が伝わるよう、ナレーションやセリフを字幕にします。文字は大きく、1画面に入れる量は少なめにします。
音もしっかり作る。音なしで見られることがある一方で、音を出して見る人もいます。Google 広告 ヘルプでは、YouTube ショート広告でサウンド(音楽やナレーション)を使うことを推奨し、コンバージョン(申し込みなどの成果)が20%以上増えることがわかっていると案内しています。
テンポよく切りかえる。同じ画面が長く続くと、次の動画へ送られやすくなります。カットの切りかえや文字の動きでリズムを作ります。ただし、光の強い点滅は、見る人の体調に影響することがあるため避けます。
最後に行動を案内する。「詳しくはプロフィールのリンクから」「〇〇で検索」など、見たあとにしてほしいことを1つ伝えます。
配信しながら改善する
SNSの広告は、配信を始めてからも、反応を見ながら動画を入れ替えられます。これがテレビCMとの大きな違いです。
| 見る数字 | わかること | 改善の例 |
|---|---|---|
| 冒頭の数秒で離れた割合 | つかみが効いているか | 最初のカットや文字を変えたパターンを作る |
| 最後まで見られた割合 | 内容が最後まで興味を引けているか | 短い尺の版を作る、テンポを上げる |
| クリック数・クリック率 | 行動につながっているか | 最後の案内の言葉や、リンク先のページを見直す |
そのため、最初から1本だけを作るより、冒頭や訴求を変えた複数のパターンを用意するのがおすすめです。同じ撮影素材から、編集で何パターンも作れます。
横型のCMを縦型にするときのチェックリスト
すでにある横型のCMを縦型にする場合は、次の点を確認します。
・主役が切れないか:横型の画面の左右にいる人物や商品は、縦に切り出すと画面から外れます。カットごとに切り出す位置を調整します。
・文字が読めるか:横型用のテロップは、縦型では小さくなったり、はみ出したりします。文字は縦型用に入れ直します。
・冒頭がつかみになっているか:テレビCMの最初の数秒は、雰囲気づくりの映像であることも多くあります。縦型では、印象の強いカットを冒頭に移すことも考えます。
・尺が合っているか:配信するサービスと広告の目的に合わせて、短い版を作ります。
・契約が足りているか:出演者、ナレーター、音楽の契約に、SNSでの使用が含まれているかを確認します。
横型の素材だけでは見せ方に限界があるときは、縦型用のカットを追加で撮る方法もあります。
よくある疑問
Q. 縦型と横型、両方を作る必要がありますか?
流す場所によります。スマートフォンで縦に見るサービスが中心なら縦型、テレビやTVer、パソコンで見られる場所なら横型が基本です。両方で流す場合は、同じ撮影から両方を作るのが効率的です。
Q. 何パターンくらい作ればよいですか?
予算と配信の期間によりますが、冒頭のつかみや訴求を変えた2〜3パターンから始め、反応のよいものを残していく方法が取り組みやすいです。
費用の目安
フリーザロックエージェントの料金の目安(概算・税別)では、素材支給の編集のみは約5万円〜30万円、撮影1日程度のWeb動画は約50万円〜150万円です。お手持ちの映像や写真を縦型に編集する方法なら、費用を抑えられます。くわしくはCM制作の費用相場をご覧ください。
まとめ:縦型は「最初の数秒」と「音なし」を前提に作る
・縦型動画の比率は9:16が基本。YouTube ショートやTikTokの公式の案内でも縦型が推奨されている
・最初の2〜3秒で何の動画かを伝え、1本で伝えることは1つにしぼる
・撮影は寄りを多めにし、画面の上下に大切なものを置かない。字幕を入れる
・複数のパターンを配信し、反応を見て入れ替える
出演者の契約でSNSでの使用が含まれているかも確認が必要です。考え方はテレビCMとWeb動画の作り分け、制作の進め方はCM制作の流れと期間をご覧ください。


