「雑誌広告の原稿は、どんなデータで入稿すればいいの?」
「J-PDFやセーフティなど、入稿規定の言葉がわからない」
結論から申し上げると、雑誌広告の原稿は、①掲載する雑誌の原稿サイズと入稿規定を確かめる、②断裁で切れないよう文字やロゴを内側に収める(セーフティ)、③業界標準の「JMPAカラー準拠PDF(J-PDF)」でデータを作り、出力見本などとあわせて入稿する、の順で進めます。雑誌は写真の色や質感が伝わる媒体なので、色の基準をそろえることが仕上がりを左右します。
この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、雑誌広告の原稿の作り方と入稿規定の基本、注目される原稿のポイント、入稿までの流れをまとめます。
雑誌広告の入稿データの基本
雑誌広告の入稿規定は出版社ごとに定められています。ここでは、集英社が公開している「雑誌原稿制作上のお願い」(2026年10月に確認)を例に、主な項目を挙げます。
| 項目 | 規定の例(集英社) |
|---|---|
| データの形式 | JMPAカラーに準拠したPDF(J-PDF)に限る |
| 入稿に必要なもの | 「4点セット」=原稿データ、出力見本、PDFデータ仕様書、プリフライトレポート(データの不備を調べた結果) |
| モノクロ原稿 | モノクロ(グレースケール)用の仕様書で入稿する |
| 使えるソフト | Photoshop・Illustrator・InDesignはCS6以上、Acrobat ProはXI以上。IllustratorかInDesignから書き出す |
| インキの総量 | 画像のインキの総量(TAC値)が320%を超えないようにする |
| セーフティ(追い込み) | 仕上がりの天地・左右から、切れてはいけない文字・ロゴ・写真まで10mm以上あける |
| 見開きの原稿 | センター見開きは、左右の小口から各20mmのセーフティを取る |
| QRコード | 4色で作ったものや色の薄いものは読み取れない場合がある。周りに5セル以上の余白を取る |
JMPAカラーは、雑誌の広告の色をそろえるための業界の基準です。原稿を作るときは、JMPAカラーに合わせて管理されたプリンタで出力した「校正紙」を見ながら色を調整します。パソコンの画面の色ではなく、出力した紙の色を基準にする点がポイントです。制作のガイドラインや設定のファイルは、雑誌広告デジタル送稿推進協議会のWEBサイト「雑誌デジ送ナビ」で公開されています。
「セーフティ」と「断裁」の考え方
雑誌は印刷したあと、紙の端を切りそろえて(断裁して)製本します。断裁の位置は少しずれることがあるため、仕上がりの線ぎりぎりに文字やロゴを置くと、切れてしまうおそれがあります。
そこで、仕上がりの端から一定の幅を「セーフティ(追い込み)」として空け、その内側に大事な要素を収めます。集英社の例では、天地・左右とも10mm以上です。また、中綴じの雑誌は、まんなかに近いページほど左右の仕上がりの寸法が短くなるため、見開きの原稿はとくに余裕を持たせます。
写真や背景の色を紙の端まで印刷したい場合は、仕上がりの外側まで絵柄を伸ばす「塗り足し」が必要です。塗り足しの幅も、雑誌の規定で確かめます。
原稿のサイズは雑誌ごとに違う
雑誌の判型(A4変形、B5など)や、1ページ、1/2ページ、1/3ページといった枠によって、原稿のサイズは変わります。同じ「1ページ」でも雑誌が違えば寸法が違うため、複数の雑誌に出す場合は、それぞれの料金表や入稿規定に書かれたサイズに合わせてデータを作り分けます。
注目される原稿にするポイント
日本雑誌協会と日本雑誌広告協会が協力し、ビデオリサーチが行った雑誌広告効果測定調査「M-VALUE」(第6回、2019年)では、第2〜6回の合計3,363素材を分析し、広告が見られること(広告注目率)にどんな条件が影響するかを調べています。影響の大きさは、掲載するスペースの大きさ(ページ数)がもっとも大きく、次に掲載する位置、雑誌のジャンル、商品のジャンル、広告の表現の順でした。
つまり、原稿の表現より前に、「どの雑誌の、どの位置に、どれくらいの大きさで出すか」が大きく影響します。そのうえで、原稿では次の点に気をつけます。
・雑誌の世界観に合わせる:読者は好きな雑誌の雰囲気のなかで広告を見ます。誌面のトーンとかけ離れたデザインは、読み飛ばされやすくなります。
・写真を主役にする:雑誌は紙とカラーの印刷の質が高く、商品の色や質感が伝わります。写真を大きく使い、文字は絞ります。
・位置に合わせて作る:裏表紙(表4)は、書店やテーブルに置かれたときに見える面です。遠くからでも何の広告かがわかるデザインにします。中面は、記事を読む流れのなかで見られるため、読ませる要素を入れられます。
・行動の入り口を入れる:QRコードや検索してほしい言葉を入れ、雑誌を見た人が詳しい情報にたどり着けるようにします。
電子版に広告が載るかを確かめる
雑誌の多くは、紙のほかに電子版も配信されています。ただし、紙の広告がそのまま電子版にも載るとは限りません。集英社の案内(2026年10月に確認)では、電子書店で販売する電子版は「純広告は掲載しない、タイアップは転載する」が基本で、純広告の転載を希望する場合は発売日の25日前までに連絡すれば無料で転載するとしています。読み放題サービス向けの電子版は、純広告・タイアップとも掲載しないのが基本で、転載は有料です。電子版にも載せたい場合は、申し込みのときに確かめます。
原稿の確認と審査
雑誌広告も、出版社による確認があります。集英社の資料では、初めて広告を出す広告主には、事前に企業・商材の審査と原稿の審査を行うとしています。編集ページと似た構成の記事広告や、法律や業界の掲載基準に抵触するおそれのある広告も、事前に審査するとしています。表現の根拠や必要な書類は、制作と同時に準備しておきます。
原稿の制作から入稿までの流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 規定を取り寄せる | 掲載する雑誌の原稿サイズ、入稿規定、締切、入稿の方法を確かめる |
| 2. デザインを作る | セーフティと塗り足しを守り、写真とコピーを配置する |
| 3. 色を調整する | JMPAカラーに合わせた校正紙を出力し、色を確かめて直す |
| 4. 出版社の確認 | 事前に原稿のビジュアルなどを確認してもらい、必要なら修正する |
| 5. 入稿する | J-PDFと4点セットをそろえ、オンラインまたはメディアで入稿する |
集英社では、オンラインでの入稿(オンライン送稿)を推奨しており、入稿の締切を後ろにずらせる、色味が安定するなどの利点を挙げています。同社の資料では、純広告の入稿締切はオンラインの場合で発売日の20〜25日前とされています。
よくある質問
Q. 新聞広告やチラシのデータを、雑誌に使えますか?
そのままでは使えません。雑誌は紙や印刷の条件が違い、色の基準(JMPAカラー)、インキの総量、サイズ、セーフティの規定もそれぞれ異なります。雑誌の規定に合わせて作り直します。
Q. デザインの素材がありません。制作から頼めますか?
はい。広告会社や制作会社に、撮影、コピー、デザイン、入稿データの作成までを依頼できます。雑誌の規定に慣れた会社に頼むと、入稿の段階でのやり直しを減らせます。
Q. ハガキや特殊な仕組みの広告は、作り方が違いますか?
違います。集英社の資料では、ハガキの原稿は寸法を厳守し、郵便用のバーコードとの関係で原稿の縮小・拡大は一切行わないとしています。綴じ込みや特殊な形の広告は、仕様や締切が別に決められている場合があるため、企画の段階で出版社に確かめます。
まとめ:規定を先に確かめ、色の基準をそろえる
・集英社の例では、JMPAカラーに準拠したPDF(J-PDF)と、出力見本などの4点セットで入稿する
・断裁で切れないよう、文字やロゴは仕上がりから一定の幅だけ内側に収める(集英社の例では10mm以上)
・広告が見られるかは、スペースの大きさと位置の影響が大きい。原稿は雑誌の世界観と写真を生かす
・電子版に載るか、審査や締切がいつかを、申し込みのときに確かめる
雑誌広告の全体像は雑誌広告とは、記事の形で伝える方法は雑誌のタイアップ記事とはをご覧ください。


