「雑誌の媒体資料に載っている部数は、どこまで信用できるの?」
「印刷証明付き部数、公称部数……何が違うの?」
結論から申し上げると、雑誌の部数には、出版社が自ら公表する「公称部数」、日本雑誌協会が公表する「印刷証明付き部数」、日本ABC協会が監査した「ABC部数」などの種類があり、それぞれ意味が違います。雑誌を選ぶときは、部数の種類と時期を確かめたうえで、読者の年代や職業、関心などの読者データ、WEB版を含めた届く人の数をあわせて見ます。部数の大きさだけで選ばないことが大切です。
この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、雑誌の部数の種類と調べ方、媒体資料の読者データの見方、数字を使った雑誌の選び方をまとめます。
雑誌の部数の種類
国立国会図書館のリサーチ・ナビでは、雑誌の部数を次のように説明しています(2026年10月に確認)。
| 種類 | 何の数字か | 調べ方・公表のしかた |
|---|---|---|
| 公称部数 | 発行者が申告した部数。出どころに断り書きがなければ、多くはこれにあたる | 出版社の媒体資料など |
| 印刷証明付き部数 | 日本雑誌協会の「雑誌各種データ 印刷部数公表」に載る部数 | 2008年4月以降のデータを四半期ごとに公表。雑誌名や出版社名で検索できる |
| ABC部数 | 日本ABC協会が公査(監査)して認定した部数 | 現在は有料のデータベースで提供 |
印刷証明付き部数は「印刷した部数」で、実際に売れた部数ではありません。売れ残りや、書店から返品される分も含まれます。どの数字かを確かめずに比べると、雑誌どうしを正しく比べられません。
媒体資料の数字の読み方
出版社の媒体資料には、部数のほかにさまざまな数字が載っています。例として、集英社の広告サイトに載っている女性誌「LEE」の数字を挙げます。
| 項目 | 数字 | 時点・説明 |
|---|---|---|
| 平均発行部数(紙) | 11.2万部 | 日本雑誌協会公表の最新部数(2026年7月末時点の掲載) |
| WEBサイトの月間PV | 3,047万PV | 2026年8月末時点。ページが見られた回数 |
| WEBサイトの月間UU | 422.9万UU | 同上。サイトを訪れた人の数 |
| トータルリーチ数 | 668.7万 | 本誌の発行部数、電子書籍版のUU数、WEBサイトのUU数、サイト会員数、各SNSのフォロワー数の合計 |
※集英社「ADNAVI」LEEの媒体ページより(2026年10月に確認)。
このように、いまの雑誌は紙の部数だけでなく、WEBサイトやSNSを含めた「届く人の数」を示していることがあります。ただし、合計の数字には同じ人が重なって数えられている場合があるため、「何を足した数字か」を確かめて使います。
読者データで見るべき項目
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| 年代・性別 | 届けたい人の年代と重なっているか。平均だけでなく、年代ごとの割合を見る |
| 職業・既婚/未婚・子どもの有無 | 商品を使う生活の場面と合っているか |
| 年収・住まい | 価格帯に合う購買力があるか。地域の偏りはないか |
| 関心・買い物の傾向 | 商品のジャンルへの関心、よく買う場所、情報の集め方 |
| 読み方 | 定期購読か、店頭で買うか、回し読みか、電子版か |
| 調査の時期と方法 | いつ、誰に、何人に聞いた調査か |
読者データは、出版社が行った読者調査の結果であるため、調査の時期と方法も確かめます。数年前の調査のままの場合もあります。
部数より「合っているか」で選ぶ
部数が多い雑誌ほど、多くの人に届きます。しかし、読者が商品と合っていなければ、届いても行動にはつながりにくくなります。業界の共同調査「M-VALUE」(日本雑誌協会・日本雑誌広告協会、第6回、2019年)では、広告が見られるかどうかに影響する条件として、スペースの大きさと掲載する位置に次いで、雑誌のジャンルと商品のジャンルが大きいという分析結果が出ています。商品と雑誌の相性は、広告が見られるかどうかにも影響します。
雑誌を比べるときは、次のような考え方が役立ちます。
・届けたい人に届く数で比べる:部数に、読者のうち届けたい条件に合う人の割合を掛けて、「届けたい人に届く数」を出します。
・1人あたりの費用で比べる:広告の料金を、その数で割ると、届けたい人1人あたりの費用で比べられます。
計算の例
30代の女性に届けたい場合の、比べ方の例です。数字は説明のための例です。
| 雑誌A | 雑誌B | |
|---|---|---|
| 部数 | 20万部 | 8万部 |
| 読者のうち30代の女性の割合 | 25% | 70% |
| 届けたい人に届く数 | 5万部 | 5.6万部 |
| 広告の料金 | 150万円 | 90万円 |
| 届けたい人1部あたりの費用 | 30円 | 約16円 |
部数だけを見ると雑誌Aが大きいですが、届けたい人に届く数と費用で比べると、雑誌Bのほうが効率がよいことがわかります。実際には、読者の関心の高さや雑誌の世界観、特集との相性もあわせて判断します。
号と特集も確かめる
雑誌は号ごとに特集が変わります。出版社は、先の号の特集予定を広告主向けに案内していることがあります。たとえばLEEの媒体ページでは、2026年12月号の「家電アワード2026」特集や、2027年1・2月合併号の「クルマ」特集の案内が掲載されています。商品に関係する特集の号に出すと、読者の関心と重なりやすくなります。
出版社に確かめたい質問
媒体資料だけではわからないことは、出版社や広告会社に確かめます。次のような質問をすると、雑誌の実際の姿がつかめます。
・部数について:載っている部数は、公称・印刷証明付き・ABCのどれか。いつの時点の数字か
・読者調査について:いつ、誰に、何人に聞いた調査か。最新の調査はいつ行ったか
・売れ方について:定期購読、書店、コンビニ、電子版などの割合はどれくらいか
・WEB版について:PVやUUはいつの数字か。重なりを除いた人数はわかるか
・過去の広告について:同じジャンルの商品の広告で、どんな反響があったか。公開できる範囲で教えてもらう
・特集について:商品に合う特集の予定はあるか。その号の申込締切はいつか
雑誌選びのチェックリスト
・部数の種類(公称・印刷証明付き・ABC)と時期を確かめたか
・読者の年代、職業、関心が、届けたい人と合っているか
・読者調査の時期と方法を確かめたか
・WEB版、電子版、SNSを含めた届く人の数と、その数え方を確かめたか
・商品に合う特集の号があるか
・届けたい人1人あたりの費用で、ほかの雑誌と比べたか
よくある質問
Q. 印刷証明付き部数は、どこで調べられますか?
日本雑誌協会がWEBサイトで「印刷部数公表」として、四半期ごとのデータを公表しています。雑誌名や出版社名で検索できます。
Q. 部数を公表していない雑誌は、選ばないほうがよいですか?
公表していないからといって、効果がないとは限りません。発行部数の根拠、読者の構成、配布のしかたを出版社に確かめ、納得できる説明があれば候補にします。
まとめ:部数の種類を確かめ、届けたい人に届く数で選ぶ
・雑誌の部数には、公称部数、印刷証明付き部数、ABC部数などがあり、意味が違う
・印刷証明付き部数は日本雑誌協会が2008年4月以降のデータを四半期ごとに公表している。売れた部数ではない
・媒体資料では、読者の年代・職業・関心と、調査の時期・方法、WEB版を含めた数字の数え方を確かめる
・部数の大きさではなく、届けたい人に届く数と、1人あたりの費用で比べる
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