「BSやCSで流すCMは、地上波と同じ作り方でいいの?」
「電話の申し込みを増やすには、CMのどこを工夫すればいいの?」
結論から申し上げると、BS・CS CMは「50代以上の人が、じっくり見ている」ことを前提に作ると、反応につながりやすくなります。文字を大きく、話すスピードはゆっくり、電話番号やWEBの案内は長めに見せる、が基本です。15秒・30秒だけでなく、60秒以上の長いCMや通販枠も使えるので、伝えたい量に合わせて長さを選べます。
この記事では、総合広告代理店フリーザロックエージェントが、BS・CS CMの長さの選び方、構成、見やすさの工夫、電話番号やWEBへの案内の見せ方、表現の注意点をまとめます。
まず、だれが見ているかを知る
「BS POWER GUIDE 2025」(ビデオリサーチのデータをもとにした民放BSの資料)によると、民放BSを1か月に1分以上見た人のうち、男性50歳以上が32.3%、女性50歳以上が36.7%でした(ビデオリサーチ テレビ視聴率 全国32地区、2025年7月クール)。
同じ資料の調査(ビデオリサーチ ACR/ex2025、「民放BSよく見る層」1,580人)では、BS放送を「ひとりで見る」が67%、「じっくり見る」が59%で、地上波放送より15ポイント以上高い結果でした。「チャンネルを変えない」も83%でした。
つまり、BSのCMは「落ち着いて、最後まで見てもらいやすい」環境で流れます。その分、内容が分かりやすいか、読みやすいかが、反応を左右します。CSは、チャンネルのジャンルによって見ている人が変わるため、そのジャンルを好む人に合わせた作りにします。
長さの選び方
| 長さ | 伝えられること | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 15秒 | 商品名と1つの特長、案内先 | 名前を覚えてもらう、くり返し流す |
| 30秒 | 特長2つほどと、申し込み方法 | 問い合わせや資料請求につなげる |
| 60秒以上の長尺CM | 使い方、特長、価格、申し込み方法まで | 電話やWEBの申し込みをねらう |
| 通販枠(数分〜30分ほど) | 実演、使った人の声、くわしい条件 | その場で購入してもらう |
日本民間放送連盟の放送基準では、CMの音声の目安として、15秒のCMは14秒以内・84音節、30秒は29秒以内・174音節、60秒は59秒以内・354音節とされています。60秒あれば、15秒の4倍以上の情報を伝えられます。電話で申し込んでもらいたい商品は、価格や申し込み方法まで伝えられる長さを選ぶのが基本です。
反応が出やすい構成
1. 最初の数秒で「自分ごと」にする。「ひざの痛みで階段がつらい方へ」のように、見ている人の悩みや関心から入ると、最後まで見てもらいやすくなります(表現は法律と放送基準にそって確認します)。
2. 伝えることを1つにしぼる。特長をたくさん並べるより、いちばん伝えたい良さを1つ決めて、映像と言葉の両方で伝えます。
3. 具体的に見せる。使っている場面、大きさ、手ざわりなどを映像で見せると、言葉だけより伝わります。
4. 次にしてほしいことを、はっきり言う。「今すぐお電話ください」「資料を無料でお送りします」など、見た人が取る行動を1つに決めて伝えます。
見やすさの工夫
・文字を大きく、少なく:画面の文字は大きめにし、1つの画面に入れる文字の量をしぼります。背景と文字の色の差をはっきりさせます。
・話すスピードはゆっくり:ナレーションは聞き取りやすい速さで。早口で情報を詰め込むと、伝わる量はかえって減ります。
・音と文字の両方で伝える:商品名、価格、電話番号は、ナレーションで読み上げ、画面にも表示します。
・表示の時間を長めに:大事な文字は、読み終わるまで十分な時間、画面に出しておきます。
電話番号・WEBへの案内の見せ方
電話番号。CMの最後だけでなく、途中でも表示すると、メモを取る時間ができます。番号は大きく、区切りを分かりやすく示し、ナレーションでも読み上げます。覚えやすい番号や、語呂合わせを使う方法もあります。
WEB・QRコード。テレビの画面のQRコードは、スマートフォンで読み取ってもらうまでに時間がかかります。表示の時間を長めにとり、「画面のQRコードから」と声でも案内します。検索してほしい言葉を伝える方法もあります。
受付時間。「24時間受付」「通話料無料」など、申し込みのハードルを下げる情報があれば、あわせて伝えます。実際の受付体制と合っていることが前提です。
CM専用の番号・URL。CMだけで使う番号やURLにすると、反響を分けて数えられます。局や時間帯ごとに分ければ、どの枠の反応がよかったかも分かります。
CMの終わり方を決めておく
CMの最後の数秒は、見た人に「次に何をするか」を伝える大切な時間です。ここを毎回同じ形にしておくと、何度か見るうちに覚えてもらいやすくなります。
・会社名・商品名:ロゴと一緒に、声でもはっきり伝えます。
・案内先:電話番号、検索してほしい言葉、QRコードのうち、いちばん使ってほしいものを大きく示します。たくさん並べると、どれも読まれにくくなります。
・特典や期限:「資料を無料でお送りします」など、今動く理由があれば添えます。内容は事実にもとづき、条件も分かるように示します。
CSはチャンネルのジャンルに合わせる
CSの専門チャンネルは、見ている人の関心がはっきりしています。CMも、そのジャンルを好む人に合わせて作ると、受け入れられやすくなります。
| チャンネルのジャンル | CMの工夫の例 |
|---|---|
| スポーツ | 試合の合間に流れるため、短く勢いのある作りにする。スポーツをする場面と結びつける |
| 映画・ドラマ | 作品の世界を壊さない、落ち着いた映像と音にする |
| 時代劇 | 年配の方に向けて、文字を大きく、ナレーションをゆっくりにする |
| 囲碁・将棋、釣りなど趣味 | その趣味の言葉や場面を使い、「自分のための商品だ」と感じてもらう |
| ニュース・経済 | 数字や根拠を分かりやすく示し、信頼感を大切にする |
同じ商品でも、チャンネルごとに最初の言葉や映像を少し変えた素材を用意すると、それぞれの視聴者に届きやすくなります。素材を分けると、反響もチャンネルごとに比べやすくなります。
地上波の素材を使う場合
地上波用に作ったCMの多くは、BS・CSでも使えます。ただし、局ごとに素材の形式や納め方が違うため、変換と搬入の対応が必要です。地上波のCMは地域の視聴者向けの言葉が入っていることもあるので、全国放送に合う内容かを確かめます。
また、地上波の15秒CMをもとに、BS・CS用に60秒の長い版を作る方法もあります。撮影の段階で長い版の分まで撮っておくと、あとから作り分けがしやすくなります。
表現の注意点
BS・CSのCMも、放送局の考査(審査)を受けます。日本民間放送連盟の放送基準では、次のような点が定められています。
・視聴者に誤解を起こさせるような表現をしてはならない
・原則として、最大級の表現や、それに類する表現を使わない
・統計や学術用語などを引用して、実際以上に科学的と思わせる表現をしない
・虚偽の証言や、実際に使った人の見解でない証言は取り扱わない
・医療、医薬品、化粧品、健康食品などの広告で、関係法令に触れるおそれのあるものは取り扱わない
健康や美容に関わる商品は、薬機法や景品表示法にそった表現になっているか、企画の段階から確かめておくと、作り直しを防げます。通販の場合は、特定商取引法で求められる価格や返品条件などの表示も必要です。
素材を改善していく
BS・CSは、1本あたりの料金が地上波より低いため、内容の違うCMを流し分けて、反応を比べやすい媒体です。たとえば、最初の言葉を変えたもの、電話番号の見せ方を変えたものを用意し、同じ局・同じ時間帯で反応を比べます。反応のよかった素材を残し、次の素材を作るときの手がかりにします。
よくある質問
Q. CMの制作にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 内容や撮影の有無で変わります。手持ちの映像を編集する場合は短く、撮影から行う場合は長くなります。考査の期間も含めて、放送したい日から逆算して準備します。
Q. 出演者はタレントでないといけませんか?
A. タレントを起用しなくても、CMは作れます。商品を使う場面をていねいに見せたり、社員やお客さまに出てもらったりする方法もあります。お客さまに出てもらう場合は、本当の感想であることと、出演の同意が必要です。
Q. 1本だけ作れば足りますか?
A. 最初は1本でも始められます。ただ、内容の違う素材を2本ほど用意して流し分けると、どちらの反応がよいかを比べられ、次の改善につなげやすくなります。
Q. 文字の大きさや表示時間に決まりはありますか?
A. 局ごとに素材の技術的な基準があります。見やすさについては決まった数字はないため、実際にテレビの画面で確認しながら調整するのがおすすめです。
まとめ:じっくり見る人に、分かりやすく、行動まで伝える
・民放BSは50歳以上が中心で、ひとりで、じっくり見る人が多い(BS POWER GUIDE 2025)
・伝えたい量に合わせて、15秒〜長尺CM、通販枠まで長さを選ぶ
・文字は大きく少なく、話すスピードはゆっくり、大事な情報は音と文字の両方で
・電話番号やQRコードは長めに見せ、CM専用の番号・URLで反響を測る
・放送基準や関係法令にそった表現を、企画の段階から確かめる
申し込みの流れと素材の納め方はBS・CS CMの始め方、CMの作り方の全体はCM制作の流れと期間、制作費の目安はCM制作の費用相場をご覧ください。


